たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

[101冊目]江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「女は、いい男にダイエットをだいなしにされるためにダイエットをするのだ」 江國香織の良さはわかり易さだと思う。 わかり易さは共感を呼びやすい。 読書が好きな女性の普遍的な好みを把握していらっしゃる。 現実の綺麗な上澄みだけ…

[100冊目]ルネ・デカルト 山田弘明『省察』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「何か真なるものを認識することが私の能力のうちにはないとしても、しかし、少なくとも偽なるものに同意しないことは私にできるのであり、この欺き手が、いかに力があろうと狡猾があろうと、私に何も押しつけることができないよう、決…

[99冊目]金城一紀『対話編』☆☆☆

一番気に入ったことば「真理や正論を口にし過ぎる奴は嫌われる」 これは僕のことですかw 高校の頃は正しいことや真実について考えている時間が多くて、よく友人にもそんな題材を振っていたものだ。 その結果「一緒にいると疲れる」と言われてショックを受けた…

たまにものろーぐ

昨日「哲学への権利」というドキュメンタリー映画を大学の哲学セミナーで視た。 鑑賞後に監督の西山さんと大学の先生方が討論を行った。 映画の内容はフランスにある「国際哲学コレージュ(一般の人に開かれた大学のようなもの)」の紹介と、その関係者が人…

[98冊目]下條信輔『サブリミナル・インパクト』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「チョイス・ジャスティフィケーション(選択の正当化)」 自分の選択は正しいというのはもしかして間違いかもしれない。(矛盾してますね、はい(^_^;) これには認知的不協和理論という、自己の選択したものの価値を高く見積もってしま…

[97冊目]外山滋比古『思考の整理学』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「休み休みのほうが進むものは進む」 帯のキャッチフレーズを変えただけでバカ売れした本。 実際僕も帯を見て思わず中身を確認してしまった。 帯もそうだが、本屋にある書評も短い文章で興味を持たせる効果があり、提示することで10%ほ…

(ここから3月読了分)[96冊目]長谷川宏『高校生のための哲学入門』☆☆☆

一番気に入ったことば「万人が平等だと言うとき、言う人は高みに立って万人を上から見下ろすようにして、みんな同じだ、といっている。」 この本は哲学入門と題しているが、僕には「長谷川哲学入門の書」だと感じた。 日本における哲学全般を知るための入門書…

[95冊目]河合幹雄『終身刑の死角』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「普通に日常生活を送っている人たちにとっては、一生で出会う機会のない人たちが集まっている場所、それが刑務所である」 上記にあるように、一般人にとって犯罪や刑法は日常生活とかけ離れた存在だろう。 しかしなぜかそのようなもの…

[94冊目]河合香織『セックスボランティア』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「キスはしたいけど、セックスはしたいと思いません」 「好きだからセックスしよう」「愛しているからセックスしよう」という普通の人。 「好きだからセックスしたくない」「性欲はある。気持ちいいことしたい」という障害を持った人。 …

[93冊目]信田さよ子『選ばれる男たち 女たちの夢のゆくえ』☆☆☆

一番気に入ったことば「ミソジニー」 ミソジニーとは、男女の性に優劣をつけることであり、女性を劣位に置き、蔑視、嫌悪の視線でとらえること。 これは男性から女性に向けられるものだけでなく、女性自身も男性からの視線を意識し、自らの女性性を嫌悪する…

[92冊目]古川昭夫・河出真理子/酒井邦秀(監修)『いっぱい読めばしっかり身につく 今日から読みます英語100万語!』☆☆☆

一番気に入ったことば「記録ノートをつけよう」 英語のリーディング力をつけたいと読んでみた。 現在約5万語。 あまり進んでないや(^_^;) この本自体は英語多読学習法と、それを行った読者による感想、また利用する本の紹介である。 多読用の英語の読み物に…

[91冊目]村上春樹『羊男のクリスマス』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「羊男世界がいつまでも平和で幸せでありますように」 羊男が主人公です。他のキャラも変です。 でもいいやつらです。 なんか普通な家主の奥さんだけがやな感じです。 あまりにも世間体を気にしたり、あまりにも他人に媚を売ろうとする…

[90冊目]斎藤慶典『デカルト 「われ思う」のは誰か』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「私自身」と世界(世間)という大きな書物」 デカルトの「我思うゆえに我あり」に焦点をあて、とてもわかりやすく書いた本。 どんな学問の本でも、わかり易いものから難解なものまで幅があることはよいことだ。 興味がある人は、わか…

たまにものろーぐ

ブログを書き始めてだいぶ経ちましたが… 自分で読み返して面白いと思った。その時の気持ちが蘇る。 それは日記を書く醍醐味でもある。 書いておいてよかったなぁ。 ただ、やはり今でも知らないうちにネットの世界に自分の文章が公表されているのは不安だ。 …

[89冊目]小林道雄『デカルト入門』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「デカルトの道徳のモットーの一つは「死を恐れず生を愛すること」であったのである。」 この本はデカルトの生涯から著作の全体に至るまで幅広く紹介されている。 デカルトの全体像を把握するのに参考になった。 「われ思うゆえにわれあ…

[88冊目]デカルト/谷川多佳子(訳)『方法序説』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「運命よりむしろ自分に打ち克つように、世界の秩序よりも自分の欲望を変えるように、つねに努めることだった。」 この本は『理性を正しく導き、学問の真理を探求するための方法の話 加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾…

[87冊目]河野哲也『暴走する脳科学』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば[アフォーダンス] アフォーダンスは行動主体が環境に変化を引き起こし、その変化が行動主体に再帰する循環的過程を表現する概念である。 心は人の内面の中だけで完結する外界と隔離された存在ではなく、環境と関係をもつ志向性を有する…

(ここから2月読了分)[85、86冊目]春山行夫『ビールの文化史1・2』☆☆☆☆

一番気に入ったことば『ドイツではまたビールにちなんだ苗字(姓)の多いこと』 この本の著者は様々な題材の文化史の本を出している。酒の席で話を聞いたら楽しそう♪残念ながら他界してますが。 内容は史実からの集積なので淡々としていて面白みに欠けると思…

[84冊目]栗原堅三『味と香りの話』☆☆☆

一番気に入ったことば「のど越しの味」 味を感知する味蕾は舌の上だけにあるものかと思っていたら、なんと喉の奥や食道上部にもあるのです。 いわゆる五味(酸味、甘味、苦み、塩味、うま味)には反応しないが、水と二酸化炭素に反応するのです。 水分を飲ん…

[83冊目]渡淳二(監修)サッポロビール価値創造フロンティア研究所(編)『ビールの科学 麦とホップが生み出すおいしさの秘密』☆☆☆☆

たい一番気に入ったことば「ビアライゼ」 「Bier Reise」(ビアライゼ)はドイツ語でビールの旅。 その土地の料理と一緒にビールを楽しもうというもの。 この本ではあまり各国のビールを紹介しているわけではないけど。 僕自身ビアライゼは一生のうちにして…

[82冊目]伏木亨『味覚と嗜好のサイエンス』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「情報のおいしさ」 この本は生体生理学を中心に美味しいということを科学的に紹介する本。 コクとキレは美味しさを表す表現だがイマイチよくわからなかった。この本を読んで納得。 ビールを飲むと血液中のカリウムが過剰になるからナト…

[81冊目]青井博幸『ビールの教科書』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「高すぎる酒税」 いや、もうほんとびっくりですよ。 2009年のデータだと、アメリカの約11倍、ドイツの約15倍の酒税が日本のビールにはかかっている。 それでもビールは人気のあるお酒のひとつである。僕もビールが好きだ。 なんとな…

[80冊目]半沢隆実『銃に恋して 武装するアメリカ市民』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「銃なき国家日本からみると、銃があふれるアメリカ社会が奇異に映る」 「「親類や知人など身近な人が銃で撃たれた経験があるか」とのアンケート質問に「YES」と答えた人の割合は白人で28%、 非白人は47%という調査結果が載ってい…

[79冊目]濱口桂一郎『新しい労働社会 −雇用システムの再構築へ』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「フリーターやニートを生み出しているのはむしろ普通高校なのです。」 現代の労働環境の問題について話題を網羅的に記述した本。 高度成長期の労働環境のあり方が今だ変革を見せず、経済成長停滞期(寧ろ下降期か)の労働環境と齟齬が…

(ここから1月読了分)[78冊目]安藤寿康『心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「遺伝的多様性」 人間行動遺伝学について双子の研究を中心に据え、様々な論点からアピールしている。 身体的な遺伝が環境の影響を受けているように、心の遺伝も環境の影響を受ける。 心は目に見えないため、知能指数とか、行動とか、趣…

[77冊目]原田武『インセスト幻想 人類最後のタブー』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ピグマリオン・コンプレックス」 ピグマリオン・コンプレックスとは、わかりやすく言うと教育欲求である。 僕にもあるなと気付き、はっとさせられた。 それは僕自身が親から、また学校からも一般的な教育を受けていないせいか。 子供…