たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

読了[480冊目]ロバート・L・ケーゲル他著『発達障がい児のための新しいABA療育 PRT』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ピボタル領域」 pivotalとは、枢軸の、中枢の、重要なという意味です。 PRT(pivotal response treatment)はABAを基本とし、ケーゲル夫妻(お二方ともに博士)が開発した方法論です。 主にモチベーションと行動の自発性に着目した介入…

読了[479冊目]山口真美『発達障害の素顔』☆☆☆

一番気に入ったことば「最新の研究から、社会性にかかわる脳の部位には(…)4つのネットワークから構成されていることがわかってきた。」 この本は、(私の師匠の師匠)山口先生の専門である視知覚の研究を主軸としながら、発達障害に目を向けた場合に見えて…

読了[478冊目]奥田健次『世界に1つだけの子育ての教科書 子育ての失敗を100%取り戻す方法』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「別の許せる行動」の重要さに気づかない大人は多い」 この本は応用行動分析の権威である奥田先生の著書です。 ①暴力・暴言・物を壊す、②グズグズ・いじける、③トイレ問題と偏食、④ほめる&叱るのルール、⑤過保護・過干渉 の問題行動…

読了[477冊目]松坂清俊『発達障害のある子の発達支援』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「保育・教育臨床と心理臨床の統合」この本は、言語、情緒、社会性、遊び、などの発達の知識に関して、発達障害のある子を中心とした視点で得られます。 また、そのような視点を元にどのような支援が必要かについて、いくつかの療育プロ…

読了[476冊目]中川信子『1・2・3歳ことばの遅い子 ことばを育てる暮らしのヒント』☆☆☆

一番気に入ったことば「ほんとうにことばを覚えてゆくためには、「今、ここにいる、〇ちゃん」にむかって話されることばが一番大事。」 この本はことばの理解・表出が遅いなと感じる保護者向けの本です。 基本的な内容と、Q&A方式によるよくある悩みについ…

読了[475冊目]大隅典子『脳からみた自閉症』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ドーハッド仮説」 本書が2016年刊行なので、その時点で分かっている自閉症に関する脳科学の研究成果について紹介されています。 基本事項やこれまでの定説にも触れられていて、非常にわかりやすく書かれています。 但し、あくまで脳科…

本日読了[474冊目]熊野宏昭『実践!マインドフルネス』☆☆☆

一番気に入ったことば「マインドフルネス瞑想の実践法」この本は、会社で上から業務として「ヨガと瞑想」が強制(ラジオ体操みたいな感じ?)される中で、 瞑想が、よりスタッフのストレス低減になればと思いマインドフルネスの知見を広めるために読みました…

読了[473冊目]亀口憲治『家族療法的カウンセリング』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「円環的質問法」 専門家向けです。中でも亀口先生の家族療法を学びたい人向けです。 学会で拝見した亀口先生の個人的な印象ですが、非常に博識で経験豊富な臨床家であり、同業の者からカリスマ性を感じるに値する言葉と態度が見られま…

読了[472冊目]中川信子『ことばの遅れのすべてがわかる本』☆☆☆

一番気に入ったことば「インリアル・アプローチ」 この本は保護者の方向けに、子どもの言葉の遅れが気になる場合の対応方法や養育の方法について書かれたものです。 専門家の私は子どもへの関わり方を学ぶというよりも、親御さんへのアドバイスをする場合の…

読了[471冊目]橘玲『言ってはいけない 残酷すぎる真実』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「オキシトシンが(中略)仕事に行くとその供給が途切れてしまう」 この本は、表面上は人々の関心・興味に対して甘言を与えるようなキャッチーな題名、帯の言葉が目立ちますが実際中身を読むと、研究成果に基づいて常識や通説、俗説にメス…

読了[470冊目]ヘルマン・ヘッセ、高橋健二訳『デミアン』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「人はカメのように自己自身の中に完全にもぐり込まなければならない」 この本は大学時代の親友に勧められて読みました。 主人公シンクレールの内省や、家族や他者との関わりの中で感じる狭窄さは、(大人になった読者からみて)若さ故…

読了[469冊目]安藤延男『コミュニティ心理学への招待』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「戦略概念としての「コミュニティ」」 学部生の時、しかもまだ行動基礎論コース(心理学)に入ってなかった学部1年生のときに大学生協で購入したものです。 教養科目や心理学の基本を学ぶ現状に そのときは、基礎心理学と応用心理学の…

昨日読了[468冊目]リヒテンバーガー,E.O.,マザー,N.,カウフマン,N.L.,カウフマン,A.S.,著、上野一彦・染木史緒(監訳)『エッセンシャルズ心理アセスメントレポートの書き方』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「忘れないこと!」 この本は、事業所でアセスメントを行うこと、フィードバックを行うことの事前学習として読みました。 学生時代に修得した知識の再確認をし、改めてアセスメントの重要性とそのフィードバックの心得について学びまし…

読了[467冊目]能登谷晶子・編『ことばの障害と相談室』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ことばの発達」この本は、ことばの障害の専門家、あるいはそれを必要とする保護者向けに書かれた本です。 たったの80ページ程の本ですが、なるほどと思える学問的な知識が詰まっています。 発語や構音、吃音等ことばの問題に取り組…

昨日読了[466冊目]神田冨士子『どうする?1,2歳の噛みつき・ひっかき』☆☆☆

一番気に入ったことば「噛みつきやひっかきの問題が起こるのは、たいてい、戸外遊びが不足しているときです。」 利用者の子どもの噛みつき、ひっかき(抓り)対応のため読んでみました。 この本は基本定型発達の子を想定して書かれているため、私が苦慮して…

昨日読了[465冊目]市川宜伸編著『発達障害の「本当の理解」とは』‐医学、心理、教育、当事者、それぞれの視点☆☆☆

一番気に入ったことば「発達障害はあってはならないものではなく、一つの特性と見ることができるもの」 この本は、ASDを中心に、医学、心理学、教育学、福祉、当事者など様々な分野の方々が自らの、あるいは学術的な視点で執筆されたものです。 薄い本の割に…

友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「両親間の身体的な暴力を目撃したときよりも、言葉の暴力に接したときのほうが、脳へのダメージが大きい」 この本は、4月に予定している社内研修(僕の所属している事業所が担当)の参考図書として読んでみました。 内容は、虐待、マル…

読了[463冊目]小栗正幸(監修)『行為障害と非行のことがわかる本』☆☆☆

一番気に入ったことば「子どもの特性と育つ環境が影響しあう」 この本は、私が関わる子どもに反抗挑発症が疑われる(診断はついてない)方がいて、その方の理解を進めるために読んでみました。 やや私の希望する(反抗挑発症の)内容とは違ったのですが、「…

佐久間徹『広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)』☆☆☆

一番気に入ったことば「フリーオペラント法」 著者も本文で言及している通り、この本は応用行動分析や臨床心理学を学ぼうとする学生向けの本です。 この本は著者のこれまでの研究や実体験以上に、行政、医療、福祉の分野・施設についての批判が強く主張され…