たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

[122冊目]ダニエル・デネット 土屋俊(訳)『心はどこにあるのか』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「明らかに、あるものは心を持ち、別のものは持たないということを、道徳的に確実な程度まで知ることは可能なのである(そして、それが問題のすべてだ」 デネットは人間以外の生物、または自分以外の他者が心を持っているかどうかについ…

[121冊目]下條信輔『とはなんだろうか 脳の来歴、知覚の錯誤』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ヒトには元来、秩序や因果を発見しようとする強い認知傾向があるようです。」 この本は僕にとって凄く刺激的でした。 ここ最近の意識研究を幅広く紹介しているし、尚且つ解り易いと思います。それは心理学専攻の知識があるからかも知…

[120冊目]ニコラス・ハンフリー『赤を見る 感覚の進化と意識の存在理由』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「赤すること」 この本は心理学者である著者が、意識について心理科学の視点と哲学的視点を駆使して、現在知られている研究から読者の思考を刺激してくれる傑著です。 私たちは今目の前にあるものをそのまま見ているわけではない。時に…

[119冊目]白坂啓『いいね!ミュンヘン』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「オクトーバーフェスト」 ミュンヘンといえばビールの街。オクトーバーフェストは言わずと知れた世界最大級のビール祭りですね。 この本はミュンヘン在住の著者がリアルにドイツの現状を著述しているので楽しいです。 デスノートや犬夜…

(ここから6月読了分)[118冊目]伏木亨『人間は脳で食べている』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「食品には安全とともに安心が必要」 人間は情報を食べている。 検尿コップでビールを飲んだり、実験用ビーカーでお茶を飲むのには抵抗があるだろう。 ふわふわたまごのオムライス、もちもち食感のクリームパン。よくコンビニなんかで見…

[117冊目]生田哲『脳と心をあやつる物質 微量物質のはたらきをさぐる』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「うつ病に苦しむ少年はメラトニンレベルが低いことがわかっている。」高校生のころから精神病と脳内物質は関係があると思っていたが、まさにその通りであった。最近はうつ病の食事療法もあるらしい。 当然健常者でも食べ物から摂取する…

[116冊目]中島義道『「哲学実技」のすすめ―そして誰もいなくなった…』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「幸福になりたい」という欲求が強すぎると、われわれは真理への欲求をつい忘れがちであり、つまりみずからを騙しても幸福になろうという方向に傾きがちになる。」 なかなか…もやもやする本であった。 著作を読む限りでは、中島義道は…

[115冊目]小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「愛することと働くこと」 心理学者としてフロイトの権威は皆無に近いが 思想家としてのフロイトは未だ息をしているように感じる。 この本はフロイトの思想だけでなく、その人生についても触れている。 フロイトは16年もの間癌と戦い…

たまにものろーぐ

今日は社会心理学のテスト日でした。 あらためて勉強してみて、社会心理学面白いなぁと。 今までは社会心理学は認知心理学に比べて心を研究するにはちょっとずれているというか、先輩の実験を見る限り曖昧なところがあって科学的ではないために実験を組み立…

[114冊目]アルバート・アインシュタイン/ジグムント・フロイト『人はなぜ戦争をするのか? アインシュタインとフロイトの往復書簡』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「教養のない人」よりも「知識人」といわれる人たちのほうが、暗示にかかりやすいといえます」 人間には「エロス」とよばれる「生の衝動」(性ではない)と、「タナトス」とよばれる「死の衝動」がある。 戦争(戦い)は社会性のある…

[113冊目]フロイト/中山元(訳)『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「現代人が無意識のうちに愛する者の死を強く望んでいること」 愛(エロス)とは自己に向かう生命を保存しようとする衝動である。 人間は他者を自己の中に包括し、自己と同等かまたはそれ以上に愛を注ぐことができる。 愛するが故に、そ…

[112冊目]永井均『子どものための哲学対話』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「学問は、本来、勉強なんかじゃないさ。この世でいちばん楽しい遊びなんだよ。」 この本は手放しにオススメします。 子どもの頃の単純な知的好奇心を呼び起こすことができる。(かもしれない) 今は文庫版も出ていてお求めやすくなって…

[111冊目]暉峻康隆『日本人の愛と性』☆☆☆

一番気に入ったことば「仏教各派や神道は、性愛についてまことに寛容である。」 男女の性愛を、文学から読み解く。 人文学(特に歴史系)に喧嘩を売るようだが、文学からはたして現実が見えるのだろうか。 たとえば現代の愛と性を読み解くとして、ラノベの世…

(ここから5月読了分)[110冊目]井澤敦子、他著 縣秀彦(監修)『宇宙の地図帳』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「多世界解釈」 こういう雑学の本すきだなぁ。 小中学生でも読める平易な文で書かれた天文学についての本である。 量子論とか超ひも理論とか、面白い考えだなぁと思った。哲学の理論として応用できる気がする。 もちろん専門でやってい…

復活

家の回線変更の為ネットに繋がってなかったので一週間お休みしました。 設定をちょっと変えるだけでいいはずなのに無精なもので、後回し。 今日パソコンに詳しい友人に頼りっぱなしで復活しました(^^)v もつべきものは友ですね。 僕自身もそう思ってもらえる…

[109冊目]本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「動物をよく理解するためには、空間と時間と力、この三つに対する感覚がなければいけない。」 高校の国語の教科書に載っていた内容を覚えていて、あらためて読んでみようと思いました。 当時、アメリカ人と日本人の性格の違いを環境の…

たまにものろーぐ

昨日は哲学セミナー第6回、「カール・レーヴィットと「二階建て」の日本」に行ってきました。講師は現東京大学教授の小田部胤久先生。ぱっと見は細くて頼りなさげだったが(失礼)講義内容は明瞭であったし、質疑応答での対応で見せた理解力や反応の速さは…

[108冊目]谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「人間原理という言葉をご存じですか?」 ハルヒの自己紹介でつかみはオッケー。夢見がちな少年にベタな夢の世界を見せてくれる。 うまいなと思ったのは形而上のお話がでてくるところ。 現実に存在する自分が非現実的な物語を知覚してい…

[107冊目]ダレル・ハフ 高木秀玄(訳)『統計でウソをつく法 数式を使わない統計学入門』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「だまされないためには、だます方法を知ることだ」 数字は信用されやすい、「統計データ」なんて名付けたらさらに信用度は増す。 でも実は統計で得られた数値も、提示者の恣意が含まれている場合がある。 たとえば、通常は「平均」は中…

[106冊目]福本義憲『はじめてのドイツ語』☆☆☆

一番気に入ったことば「Ich bin es auch.」(私もまたそうです。) この本は2年になってまたドイツ語を学ぶに際して、軽く復習したい気持ちから読みました。 解説は明快だが、いかんせん新書なので読み飛ばしてしまい、しっかり学習するには不向きなように…

[105冊目]福沢諭吉 斎藤孝(訳)『現代語訳 学問のすすめ』☆☆☆

一番気に入ったことば「人間のくせに、人間を毛嫌いするのはよろしくない」 古臭さは否めない。明治時代のベストセラーは、やはり明治の人々へ向けられたものだった。 読むべき内容は殆どない。もっと読むべき本が他にある。 しかし、この本の読みどころは内…

(ここから4月読了分)[104冊目]姜尚中『悩む力』☆☆☆☆

一番気に入った言葉「「私」とか「自我」といったものについてあまり詮索したがらない人」 この本はエッセイのような本なのでとても読みやすい。 読んでいて共感できる部分もあるし、間違っていると思う部分もあった。 悩むという言葉はマイナスな印象のある…

たまにものろーぐ

前年度(大学1年の4月〜3月)に読んだ本は103冊でした。 ギリギリ目標達成て感じですね。 今年度は大学生活にも慣れ、少し余裕をもって読書に勤しもうなどと思っていたのですが、心理学コース専門の基礎授業が始まり結構大変です(-_-; 1年の頃はもう…

[103冊目]井上堅二『バカとテストと召喚獣』☆☆☆

一番気に入ったことば「変わった不幸の手紙だね」 この作品で一番良かったのは、葉賀ユイのイラストです。 絵が可愛いい♡ 話の方はというと設定が唐突すぎてついていけなかったです(^_^; 見どころはベタなボケと突っ込みでしょうか。 お笑い番組のような作品…

[102冊目]成田良悟『バッカーノ! The Rolling Bootlegs』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「薬は、酒の味がした」 酒は百薬の長といいますが、不老不死になってしまうとは究極だなぁ。 キャラの視点が話の途中でかわるけど、話が整理されていて読みやすかった。 僕は酒を飲むといつも時間が早く進む気がする。いつの間にか時間…