たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

[53冊目]プラトン:鈴木輝夫・藤沢令夫(訳)『プラトン全集5 饗宴 パイドロス』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「そんなにきれいになってどちらへ」 面白い!その世界に引き込まれる魅力がある。 もちろん時代背景や哲学知識などたいしてない僕。 この本では恋と美に焦点を置いている。 ソクラテスかっけぇと思った。 対話編だから小説のようで読み…

[52冊目]小浜逸郎『エロス身体論』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ひとりの人間個体の死は、一言で言うなら、「共同体(態)の一時的な解体と変容」」 たぶんタイトルをぱっと見ると性に関する本のように思うだろうが、内容自体は性的なものにそれほど言及してはいない。 精神と肉体の関係性。肉体は単…

[51冊目]内井惣七『ダーウィンの思想 人間と動物の間』☆☆☆☆

一番心に残ったことば「道徳性の起源」 前半はダーウィンの進化論についてダーウィンの私生活と合わせて紹介されているが、ダーウィンの進化論自体は周知の事実として広く知られており、特に見どころはなかったように思う。 やはり見どころは後半の道徳と生物…

(ここから10月読了分)[50冊目]松澤喜好『英語耳 発音ができるとリスニングができる』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「英語の発音も、口の筋肉を使った「運動」のひとつといえます」 英語のリスニング学習のための本として、かなり売れていたので買ってみた。 この本は読み物というより参考書、練習のための本だと思う。 一読しただけであまり練習をして…

[49冊目]國分康孝『カウンセリング心理学入門』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「カウンセリング心理学とは、職場、学校、家庭(親子、夫婦)においていかによりよい人間関係を築くか、いかに快適な社会生活を営むか、それをサポートするための学問であるということができる」 この本と同時期にコミュニティ心理学の…

[48冊目]生駒孝彰『神々のフェミニズム 現代アメリカ宗教事情』☆☆☆

この本を読むだけでアメリカにおける宗教とフェミニズムの関係、事情が明確で具体的に理解できるとは言い切れない。 フェミニズムの本というよりキリスト教の本として読ませてもらった。 それと、男性がフェミニズムを語れば、学問の領域を超えられないかな…

[47冊目]梨木香歩『西の魔女が死んだ』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「いちばん大切なのは、意志の力」 人の歴史は自然との闘いの歴史という人もいる。 人は常に自然を支配し利用することを考えてきた。 本来自然物である人は、自然と人を分離し、人工物で構成された社会に埋没して歪んでいくようにも思う…

[46冊目]小野光一『彼女が服を脱ぐ相手』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「わたしは絶対に愛のないセックスは無理」 この本はノンフィクションである。現実の女性たちがどんな恋愛をし、そのときどんなことを思っているのかということの一端が垣間見える。 現実的な女の子を見ると嫌な気分になり、自分の女性…

[45冊目]山科千晶『つきこい』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「実際は、女のほうがずっと現実的で白けているのかも」 恋は忘れた頃にやってくる(と僕は思う) 恋愛したいとか、彼氏(彼女)欲しいとか言っているうちはちゃんとした恋はできない。そんな時に得たものは純粋な恋とは別なものだ。 一…

[44冊目]田中雅一・川橋範子(編)『ジェンダーで学ぶ宗教学』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「病院チャプレン」 仏教チャプレンは本県にもあるらしい。 女性蔑視、男尊女卑は宗教的観念に依存するよりむしろ本能的ではないだろうか。 なぜならどの宗教にも形は違えど同じように女性蔑視、男尊女卑の思考が存在するからだ。 大学…

[43冊目]キャルタン・ポスキット/滋賀陽子(訳)『眠れない夜の数学の本 カリキュラス城の冒険 ラプラス姫を救い出せ!』☆☆☆

一番気に入ったことば「ユリイカ!」 「ユリイカ!」は「私は見つけた!」って意味です。アルキメデスの体積における有名な逸話から。 夏休みに中学数学をあらためて復習してみて、やっと数学の苦手意識がなくなってきました。 哲学者の中には数学者も多いの…

たまにものろーぐ

僕は社会的劣等生だ。学力もイマイチだ。(と思う) しかし劣っていることを悔しいと思う負けず嫌いである。そして意志がある。 だから競争に勝てた。のだと思う。 成績による選抜がある心理学コースに進めることになった。第一志望のコースだったのでとても…

[42冊目]大澤真幸『不可能性の時代』☆☆☆

一番気に入ったことば「自身との差異を際立たせるような他者からは撤退しようとしているのだ」 現代の消費カルチャーを取り上げて今の時代を見ようとするのはいささか早足ではないだろうか。 しかもオタク文化という閉鎖感ある世界から世の中を見ようなんて…

[41冊目]星新一『きまぐれロボット』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「そういうものかな」 星新一は面白い!童話のような作り。寓意を含む。 そんなことはどうでもいい。すぐに読めてオチににやりとする。 人の欲望とか、人生ってそんなものかとか思わせたり、時に道徳的で、時に残酷なお話。 世界ってそ…

[40冊目]上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』☆

大学に入ってラノベ(ライトノベル)というジャンルを知った。 この本はそんな僕にラノベ好きの友人がオススメで貸してくれた。 小説というものに深みというか、行間の面白さを求める僕はライトノベルに向かないのかもしれない。 しかし、漫画なら絵が気に入…

[38・39冊目]手塚治『奇子 AYAKO 上・下巻』☆☆☆☆

この本は漫画なのだが、あえて載せました。文章量が多いし、文学作品としても読める内容だと思ったからです。 友達のオススメで借り、何気なくページを開き読み始める。 最初は歴史的事実を題材とした社会派漫画かな…と思ってたのだけど、読み始めたら面白く…

[37冊目]石田衣良『娼年』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「過剰な欲望をもつ人は生涯を檻の中で送ることもあるだろう」 檻とは刑務所のことではなく、自分を自分で制限してしまう精神的なもののこと。だと思う。 欲望は生きることと密接に関係しているはずだが、ホモ=ルーデンス(遊戯人)と…

*1270771360*[36冊目]津軽不二雄『今、死のうと考えているあなた

一番気に入ったことば「スピリチュアル・ペイン」 スピリチュアル・ペインとは「人間は必ず死ぬ。自分はどう生きるべきか」という迷いのこと。 基本的には「うつ病」の本で、自殺とうつの密接な関係と自殺を防ぐためにはどうするかを述べた本。 この本は題名が…

(ここから9月読了分)[35冊目]バロン=コーエン・ボルトン:久保紘章・他(訳)『自閉症入門 親のためのガイドブック』☆☆☆

一番気に入ったことば「事象関連電位」 脳が光か音を感知すると、電気活動が生じ、特定の突発的波形として記録することができる反応のこと。 外的刺激に直接反応してしまう。 事象関連電位が自閉症と関連しているらしいということより、脳の活動を解明すること…

[34冊目]宮沢賢治『すいせん月の四日』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「明日の朝までカルメラ菓子の夢を見ておいで」 岩手の冬。寒く厳しい冬に耐える人々の気持ちと、春を待ち焦がれる気持ち。 (新潟だけど)小さい頃田舎に住んでいた時の感じを思い出した。 さくさくさくさく雪が降り、もつもつもつもつ…

[33冊目]榊原洋一『図解 よくわかる自閉症』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ほめられたことはいつまでも覚えている」 この本は家庭教師の仕事のために、自閉症の理解のために手に取った。 僕が持っている生徒は家庭教師事務所にはLD(学習障害)と言われ、親には自閉症と言われた(おそらく医師の診断)。だ…

[32冊目]宮沢賢治『虔十公園林/ざしきぼっこのはなし』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「まったくたれがかしこくてたれがかしこくないかはわかりません」 この虔十公園林は倫理学の講義で先生が世代間倫理を説明するために使用したものだ。 宮沢賢治は何度も推敲を重ねる人で、原稿には手直しや書きなおし、未完の部分が多…

[31冊目]司馬遼太郎『二十一世紀に生きる君たちへ』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「人間は、人なみでない部分をもつということはすばらしいことなのである。そのことがものを考えるばねになる」 この本は小学校5,6年生の教科書のために書かれた二編の文章が載っている。 さすが名作を数多く生み出した著者のことば…

[30冊目]ルドミラ・ゼーマン/松野正子(訳)『ギルガメシュ王ものがたり』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ギルガメシュは、人間の姿をしていても、心は知らず、友達もいなかった。」 ギルガメシュ叙事詩の絵本版。三部作の一冊らしい。本編導入あたりの話が描かれている。 世界最古の物語と言われているギルガメシュ叙事詩に興味があって図…

(ここから8月読了分)[29冊目]伊達友美『飲んでも太らない秘密の習慣』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「酒は”純”なものを飲め」 伊達友美はダイエット界(?)では有名人らしい。テレビに出てました。 お酒が好きな僕は題名に魅了され購入。 代謝の良いものを食べることや、一時期はやったインスリンダイエット。他にも様々なものが紹介され…

[28冊目]長谷部泰男『憲法と平和を問いなおす』☆☆☆

一番気に入ったことば「国家は、個人の自己保存への権利をよりよく実現するために設立されたものにすぎない」 法に関する議論は実生活と密接に関係しているにも関わらず、いつも遠いところにあるお話に感じてしまう。 この本は授業で利用されたもので、議論…