たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

(508冊目)大河原美以『怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「怒りの問題は、哀しみの問題であり、罪悪感の問題であり、人を人たらしめる感情の根本の問題です。」 ことばを用いて他者と感情を共有することを感情の社会化と言います。 著者は「思いやりをもちなさい」と伝えると「思いやりが育つ…

(507冊目)芳賀茂『絵でみる失敗のしくみ』☆☆☆

一番気に入ったことば「注意喚起はなんら具体的対策にならない」 この本はヒューマンエラーについて、そのしくみと対策を心理学の視点から述べたものです。 心理学を元としていることも興味深いですが、著者の経験を踏まえた軽妙な文章や、イラストも相まっ…

(506冊目)野口啓示『むずかしい子を育てるペアレントトレーニング』☆☆☆

一番気に入ったことば「子育てを豊かにする魔法の言葉、共感的表現」 この本では ①具体的でわかりやすく伝える ②良い行動を褒めて増やし、悪い行動を減らしていく ③頑張り表(トークンエコノミー法)を使って良い行動を増やす ④してほしいことがあるときの伝…

(505冊目)内山登紀夫『本当のTEACCH 自分が自分であるために』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「自分が自分であるために」 TEACCHは、Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped CHildrenの略語です。日本語に訳すと、自閉症とそれに関連するコミュニケーション障害をもつ子どもの療育です。 こ…

(504冊目)木村順『育てにくい子にはわけがある 感覚統合が教えてくれたもの』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「親」の役割と「職員」の役割」 著者は述べます。「『職員』は、『親』の立場には立てないし、立ってはいけない」と。 『職員』は嫌になったら仕事を辞めることができるが、『親』は子育ての義務から逃れられない。 『職員』は給料を…

(503冊目)杉山登志郎・辻井正次(監)『発達障害のある子どもができることを伸ばす学童編』☆☆☆

一番気に入ったことば「「学習できない」のではなく「違う学び方が必要な子」」 学童期の発達障害を抱える子への配慮について非常にコンパクトにまとめられています。 発達障害の捉え方、子どもとの関わり方の基本から、身辺自立、問題行動への対応、ソーシ…

(502冊目)ジェド・ベイカー(著)竹迫仁子(訳)『おこりんぼうさんのペアレント・トレーニング』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「まず、おとなが自分自身の気分をコントロールできるようになりましょう」 この本は主に養育者向けに、ABA(応用行動分析)を基盤とした子どもの困った行動への対処法を述べたものです。 この本の「はじめに」では、情緒に問題のある子…

(501冊目)松本太一『アナログゲーム療育』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「指導者が上に立つのはNG」 以前松本太一先生の放デイ支援者向け研修に参加させて頂いた際、アナログゲーム療育についても知ることになりました。 私自身ゲームが好きだし、子どもたちも楽しく社会性(ソーシャルスキル)を学べるアイテ…

(500冊目)一般社団法人全国児童発達支援協議会『障害のある子を支える放課後等デイサービス実践事例集』☆☆☆

一番気に入ったことば「「勝ち負け」にこだわるような場合「数的概念」が未熟な部分も関連する」 この本は、放課後等デイサービスの支援従事者として他の事業所での取り組みや職員構成、支援計画と活動内容について学ぶことができます。 支援のヒントになる…

(499冊目)P.A.アルバート・A.C.トルートマン(著) 佐久間徹・谷晋二・大野裕史(訳)『はじめての応用行動分析』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「分化強化手続き」 分化強化手続きとは、標的行動を別な行動に置き換えるために用いられる方法です。 多くの場合、問題行動を修正するためにその行動と同じ機能(機能=同じ目的・意味と捉えてください)をもった適応的な行動を身につけ…

(498冊目)木村順『発達障害の子の指遊び手遊び腕遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「強くつかむ、そっとつまむはどちらも重要」 他事業所で手先の不器用さや弱さがある子に対して、療育として指先の運動ばかり沢山提供している方がいます。この本でも言及していますが、手先の細かな操作性の為には、手、腕を使って力を…

(497冊目)木村順(監)『発達障害の子の読み書き遊びコミュニケーション遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「花粉症の人が、杉林で花粉に慣れる特訓をするでしょうか?」 発達障害の性質、特に感覚に関する問題に対しては、我慢や繰り返しの訓練が有効でないことを明確に表したことばですね。 もちろん、定型発達児(所謂普通の子)には我慢や…

(496冊目)木村順(監)『発達障害の子の感覚遊び運動遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「原始系」 触覚には本能的な働きである「原始系」と、認知的な能力である「識別系」とに分かれるそうです。 「原始系」は触れたものが危険かそうでないかを即座に感じ取る機能を持ちます。感覚過敏は触覚防衛反応が強く出てしまうこと…

(495冊目)竹内健児『事例でわかる心理検査の伝え方・活かし方』☆☆☆

一番気に入ったことば「心理士が直接クライエントに心理査定のフィードバックを行うことは、専門職として当然の業務と思われる」 上記のことばはp.36より引用 他 p.11フィードバックにおいて大切なことは、伝えるだけで終わらせず、話し合うことである。 p.3…

(494冊目読了)中川信子『Q&Aで考える保護者支援』☆☆☆

一番気に入ったことば「援助する(つもりの)側の人に多く見られる相手を支配したい気持ち」 私の親戚に看護師をしている方がいて、その方は所謂教育ママ的な人でしつけに厳しく「大人の言うことを聞く子がいい子で、大人の言うことを聞かない子は悪い子」と…

(493冊目読了)東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「依存労働」 昨年秋くらいから余暇時間を携帯ゲームに吸われて本を読むスピードが落ちてしまいました(>_<)ので久しぶりの投稿です。 この本は、著者が精神障害者デイケア施設で働いた経験を元に、エッセイ形式でケアとセラピーについて…