たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

(717冊目)H.R.シャファー『子どもの養育に心理学がいえること』☆☆☆

一番気に入ったことば「常識を行動の指針にするには、慎重を要する。あいまいで誤りに陥りがちであり、個人的な意見や独断の仮面にすぎないことも多い。」

 

養育に関する俗説について、主に心理学の研究論文を解説する本です。

 

「女性のほうが男性よりも良い親になるか」、「母親は働きに出るべきか」、「親の精神病理は子どもに伝わるか」、「家族の貧困は心理発達に影響するか」、「体罰は心理的に有害か」といった気になる20のトピックについて、約30年前の情報(元の著書が1998年出版なので)を知ることができます。因みにこの日本語翻訳は2001年出版で、25年前です。

 

私自身学生の時に買った10年以上積読にしてた本なので、現在は研究も、情報も更新されているかもしれません。私の知る限り本の情報と現在の情報の逸脱はそれほど無いとは思いますが、一応古い情報だと思って読み進めました。

 

ひとつひとつの題目については、研究論文を基にある程度の回答を得ているものの、作者はとても慎重で、最終的には、取り上げた研究論文では未だ未解明な要因や、或いは交絡変数、関連しているけれど推定されていない要因がある為、現状では「はっきりわかっていない」というスタンスを取ります。

 

読み終わって、結局それかよ!と思いましたが、科学者としてはとても信頼できるスタンスです。

 

今現状で分かっている研究結果を基に、著者の「現在の」意見を述べる著書が好きな私からは、肩透かしというか、なんとももやもやとした読後感を得たように思いました。

 

しかしながら、p.3に「権威者の意見が、個人的な意見、当て推理、民間伝承、臨床経験、自らの育児経験といったもののないまぜにすぎないことが明らかになることもしばしばなのだ。」とあるように、大学の研究者や売れっ子の執筆家が自らの不確実な意見を主張する為に一部の研究論文を引用しているに過ぎない、と考えることもできます。

 

結局研究論文の情報も、権威者の話も、「確からしい」とか、「今現状でわかったこと」と捉える必要があり、将来覆される可能性があることを想定しながら聞く必要があるようです。

 

研究論文の知見はなんとも不安定で、そもそも情報の信頼性とは?みたいにも思いますが、確かに科学的な視点としては納得できます。批判的な精神こそが科学の神髄なのでね。

 

それとは別に、この本は読んでいて文章が理解しにくく、翻訳が直訳調であるところが多々あり気になりました。

 

ん?と思って「おそらく英語ではこう書いていて、こういうニュアンスだろうな…」みたいに、読んでいて引っかかることが多かったです。

 

私は翻訳のプロではないですが、読者の意見として、前後の文脈や心理学的知見を基にした、もっとわかりやすい文章で翻訳作業をしてほしかったなぁと思いました。

 

 

 

(716冊目)原田マハ『ジヴェルニーの食卓』☆☆☆

一番気に入ったことば「モネの「アトリエ」、それは青空の下のことだ。

 

時間に追われることなく、余暇に小説を読む。

 

仕事をしていると、どうしてもそればかりが気になって仕事に関連する本ばかり読んでしまっていたけれど、そのような束縛が無くなった今は、小説を読む気持ちの余裕がある。とても贅沢なことだと思います。

 

ただ、一方で大学の頃のように集中して小説を味わえていない感覚も覚えました。

 

何かに追われているのが「くせ」になってしまったのか、読んでいて注意が途切れたり、記憶や想像力が曖昧になる感覚が頻繁に起こっているように思いました。

 

勿論、昔もそのような感覚を得ることがあったのだが、顕著になっている気がするのです。

 

昨年の9月に病気を患い、約半年の治療期間が過ぎ、回復して日常を取り戻したと思いましたが、もしかしたらまだ精神的な回復の途中にあるのかもしれません。

 

昨日SOMPO美術館の企画展「ウジェーヌ・ブーダン展」に行ってきました。

 

美術や文学に触れられる。贅沢で豊かな時間の使い方ですね。

 

 

(715冊目)シンシア・ウィッタム『きっぱりNO!でやさしい子育て 続読んで学べるADHDのペアレントトレーニング』☆☆☆

一番気に入ったことば「よい面をとらえる」

 

基本的な方針はUCLA神経精神医学研究所のペアレントトレーニング・プログラムを基にしているので、前作で学んだ内容とほぼ同じと捉えることができます。

 

この本の特徴は、子育てで起こる問題(問題行動含む)に特化して、「好き嫌い」や「あと1回だけ!と言われたら…」等、あるあるの場面に対して、どのように対応するのかを具体的に記述している点です。

 

一部アメリカらしい場面や表現もありますが、概ね日本での子育て中のあるある場面に当てはめても違和感はないと思います。

 

25日に障害児支援従事者と親向けの講演会を行う予定なので、復習というか、知識の再確認として読みました。

 

 

 

(714冊目)M・キーナン、K・P・カー、K・ディレンバーガー(編)『自閉症児の親を療育者にする教育 応用行動分析学による英国の実践と成果』☆☆☆

一番気に入ったことば「行動分析家たちは、親にスキルを身につけてもらうことは道徳的に正しいと主張しています。」

 

親を療育者に…という題名から、ペアトレ、あるいは親支援の本だと思って読んだのですが、少し違ったようです。

 

アイルランドでの親によるABAの実践報告が主で、行動分析家やその他の専門家の関わりは客観的に記述されています。

 

PEATという組織に親が参加してABAを学び、家庭で実践することや、その中身、ABAの理論については理解できたのですが、PEATがどのように親に指導しているのか、指導方法や頻度、料金、等具体的な親教育の方法についてはよくわかりませんでした。

 

そりゃぁ、ABAの知識を子どもが未就学から就学までの間に1から教えて、分析方法やデータのとり方まで教えられたら、そりゃ成果が出るだろうと思うのですが、そこまでの時間や料金を考えると、現実的ではないなと思いました。

 

そんなふうに長い期間専門家からABAを学べるのは、よっぽどの資産家で、しかも療育の時間を子どもに提供する為には専業主婦に限られます。

 

そのような対象者向けの親教育プログラムがあってもいいとは思うのですが、個人的にはもっとABAの知識を世間一般の方に広く知ってもらえたらいいなと思っています。

 

 

 

(713冊目)島宗理『応用行動分析学ヒューマンサービスを改善する行動科学』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「学び手は常に正しい」

 

去る5月28日に、かぷあさん(たちばなさん)の職員向けに研修を行ってきました。

 

その研修に先駆け、ABA全体の復習の為に読みました。

 

殆どの用語、基本的知識については理解しているので、さっと読み飛ばしたところもありますが、新しく学ぶ用語(単に忘れてるだけかも…)を学び、改めて知識の整理を行いました。

 

ABAについては、その有用性はもとより、理念についても素晴らしいものなので、もっと世の中に知られるべきと思っていますが、世間に広く知れ渡っている感覚が無いんですよね。

 

専門用語による難しいイメージなのか、科学的・学問的なイメージによる抵抗感なのか。それとも一般的な常識とは異なる部分のある方法論なのか。

 

先にも述べたように、私自身は幅広く知ってもらいたいと思っているので、これからも職員研修や保護者の方を通じて知ってもらう活動を行っていきます。

 

 

 

 

 

FF11に初挑戦する件

これまでオンラインゲームは金と時間がかかる沼と思っていて避けていたけれど、時間に余裕ができたので、FF14をやりたいところだけど、FF11を体験してからと思いました。

 

アカウント登録やダウンロードやらでかなり面倒。今はバージョンアップで10時間?!…30分で残り3時間台になったのでPCの性能によって時間違うみたい。

 

転スラ視てダウンロード待ち。

(712冊目)秋葉佳宏・笹木耕介『「強い人材」を育てるための 成功する研究設計入門』☆

一番気に入ったことば「研修とは講師と受講生がインタラクティブにつくり上げていくものだと考えています。」

 

私は勘違いをしていました。

 

「研修設計」と表紙にあったので研修講師の為の本かと思ったら、内容としては企業・組織の研修とはなんぞや?というレベルの人が読む本でした。

 

そして本当の中身は、組織・企業研修を商売にしている著者2名が自分たちの経験や実績を語り、自社のビジネスを宣伝する為の本です。

 

一時期何冊もビジネス書を立ち読みしたり図書館で閲覧しましたが、この本も例にもれず、大きい字で書かれ、中身は無いに等しい。エビデンスの無い著者の経験や思いが簡単な文章で綴られています。

 

ジャケ買いしているとたまにハズレに当たるのは仕方のないこと。

 

あくまで、私が期待した内容ではなかったということなので、企業・組織の人材育成に関する研修を殆ど受けたことが無いけど自社で研修を行う必要性を感じており、ネットの情報を利用することができない方にとっては学びがあるかもしれません。