たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

(499冊目)P.A.アルバート・A.C.トルートマン(著) 佐久間徹・谷晋二・大野裕史(訳)『はじめての応用行動分析』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「分化強化手続き」 分化強化手続きとは、標的行動を別な行動に置き換えるために用いられる方法です。 多くの場合、問題行動を修正するためにその行動と同じ機能(機能=同じ目的・意味と捉えてください)をもった適応的な行動を身につけ…

(498冊目)木村順『発達障害の子の指遊び手遊び腕遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「強くつかむ、そっとつまむはどちらも重要」 他事業所で手先の不器用さや弱さがある子に対して、療育として指先の運動ばかり沢山提供している方がいます。この本でも言及していますが、手先の細かな操作性の為には、手、腕を使って力を…

(497冊目)木村順(監)『発達障害の子の読み書き遊びコミュニケーション遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「花粉症の人が、杉林で花粉に慣れる特訓をするでしょうか?」 発達障害の性質、特に感覚に関する問題に対しては、我慢や繰り返しの訓練が有効でないことを明確に表したことばですね。 もちろん、定型発達児(所謂普通の子)には我慢や…

(496冊目)木村順(監)『発達障害の子の感覚遊び運動遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「原始系」 触覚には本能的な働きである「原始系」と、認知的な能力である「識別系」とに分かれるそうです。 「原始系」は触れたものが危険かそうでないかを即座に感じ取る機能を持ちます。感覚過敏は触覚防衛反応が強く出てしまうこと…

(495冊目)竹内健児『事例でわかる心理検査の伝え方・活かし方』☆☆☆

一番気に入ったことば「心理士が直接クライエントに心理査定のフィードバックを行うことは、専門職として当然の業務と思われる」 上記のことばはp.36より引用 他 p.11フィードバックにおいて大切なことは、伝えるだけで終わらせず、話し合うことである。 p.3…

(494冊目読了)中川信子『Q&Aで考える保護者支援』☆☆☆

一番気に入ったことば「援助する(つもりの)側の人に多く見られる相手を支配したい気持ち」 私の親戚に看護師をしている方がいて、その方は所謂教育ママ的な人でしつけに厳しく「大人の言うことを聞く子がいい子で、大人の言うことを聞かない子は悪い子」と…

(493冊目読了)東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「依存労働」 昨年秋くらいから余暇時間を携帯ゲームに吸われて本を読むスピードが落ちてしまいました(>_<)ので久しぶりの投稿です。 この本は、著者が精神障害者デイケア施設で働いた経験を元に、エッセイ形式でケアとセラピーについて…

上林靖子(監)『こうすればうまくいく 発達障害のペアレントトレーニング実践マニュアル』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「CCQ」 この本は、江戸川区小岩にある「まめの木クリニック」さんのペアレントトレーニング(リーダー養成基礎研修)を受けた際のテキストとして用いられたものです。 私も4月にこのペアレントトレーニングの実施者として、2日間の研修…

読了[491冊目]楠田丘・野原茂・『管理職・専門職・専任職を育てる 人材成長アセスメント◎新人材評価システムの展開』☆☆☆

一番気に入ったことば「結論や決定は最終的に本人にさせる」 私自身、専門職主任という立場にて、会社の他の専門職を評価する立場にあります。私の会社では専門職も若い方が多いので、専門職として成長してもらうことはもちろん、社会人としても成長してもら…

読了[490冊目]シンシア・ウィッタム、上林靖子他(訳)『ADHDのペアレントトレーニング むずかしい子にやさしい子育て』☆☆☆

一番気に入ったことば「ほめるということには、ことばだけでなくいろいろな要素があります。」 仕事でペアレントトレーニングを行おうと思っています。そのために読みました。 この本はABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)を基本としてADHD(傾向)…

読了[489冊目]宮井研治(編)『子ども・家族支援に役立つ面接の技とコツ』☆☆☆

一番気に入ったことば「具体的な名前や内容を告げるとかの配慮が提唱されています。(中略)これらは特別な配慮というよりはより丁寧なコミュニケーションの提案です。」 この本のは主に児童相談所やその周辺施設、多くは行政の児童支援に関わる心理士による…

読了[488冊目]秦充洋『プロ直伝! 成功する事業計画書のつくり方』☆☆☆

一番気に入ったことば「リスクを示すシナリオも必要」 この本は一部漫画も挿入されていてストーリー展開があり読みやすいです。 私は参考書は何冊か読むことで、共通点を見つけ基礎事項の確認や重要な点を記憶することに役立てています。 他の事業計画書作成…

矢場田勲『プロカウンセラー開業&集客BIBLE』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「一流のスキルを持ったカウンセラーであることと、独立開業してカウンセリングルームを経営することは全くの別物です」 この本は心理カウンセリングを行おうとする人にとっては、本当にバイブルと言えるほど必要なことをまとめて理解で…

井口嘉則『マンガでやさしくわかる事業計画書』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「広告・宣伝方法を考える」 この本は(この分野では初心者の)私が新規事業計画を作成するうえで最も役に立ったと思う本です。 漫画部分はおまけですが、物語と同じような商品開発の事業計画を作成する人にとっては自分を重ねて読み進…

石川明『はじめての社内起業』☆☆☆

一番気に入ったことば「ある程度「非合理を承知」でいなければ、新規事業は始まらない」 この本は私自身が社内で新規事業を興す上で必要と思い読みました。 本書は著者がリクルート社での経験を元に、新規事業を始めるために必要な心構えと考え方が記載され…

読了[484冊目]糸川昌成(監修)『統合失調症スペクトラムがよくわかる本』☆☆☆

一番気に入ったことば「「脳」だけではなく、「心」の治療も大切」 会社で統合失調症の診断のある方と話す機会があったため、短時間で基本的なことを学ぶために読みました。 100頁ほどの薄い本で、イラストもありサクサク読めます。基本的なことがしっかり理…

読了[483冊目]小笠原恵(編)『「行動問題」解決ケーススタディ』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「周囲の人からみてちょっと奇異にうつるかもしれませんが、その子なりに楽しみをもっていることは大切なことでもあるのです」 応用行動分析の学習、発達障害を抱える子どもの行動問題への対応のための学習として読みました。 非常に読…

読了[482冊目]津川律子他著『心理臨床における法と倫理』☆☆☆

一番気に入ったことば「子どもの特徴の十分な理解と職員間の共通認識がなければ職員が「力による支配」に頼ってしまい、結果として新たな権利侵害が生じてしまう可能性がある。」 この本は放送大学大学院文化科学研究科のテキストです。 心理臨床の現場には…

読了[481冊目]平岩幹男『自閉症スペクトラム障害 −療育と対応を考える』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ほめることは、技術と経験の蓄積と習慣です」 この本はASDの療育について非常にコンパクトにまとまっています。 基本的にはご家庭向けですが、専門家がASD療育を俯瞰するためにも役立ちます。 幼児期の療育方法、TEACCH、ABA、PECS、D…

読了[480冊目]ロバート・L・ケーゲル他著『発達障がい児のための新しいABA療育 PRT』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ピボタル領域」 pivotalとは、枢軸の、中枢の、重要なという意味です。 PRT(pivotal response treatment)はABAを基本とし、ケーゲル夫妻(お二方ともに博士)が開発した方法論です。 主にモチベーションと行動の自発性に着目した介入…

読了[479冊目]山口真美『発達障害の素顔』☆☆☆

一番気に入ったことば「最新の研究から、社会性にかかわる脳の部位には(…)4つのネットワークから構成されていることがわかってきた。」 この本は、(私の師匠の師匠)山口先生の専門である視知覚の研究を主軸としながら、発達障害に目を向けた場合に見えて…

読了[478冊目]奥田健次『世界に1つだけの子育ての教科書 子育ての失敗を100%取り戻す方法』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「別の許せる行動」の重要さに気づかない大人は多い」 この本は応用行動分析の権威である奥田先生の著書です。 ①暴力・暴言・物を壊す、②グズグズ・いじける、③トイレ問題と偏食、④ほめる&叱るのルール、⑤過保護・過干渉 の問題行動…

読了[477冊目]松坂清俊『発達障害のある子の発達支援』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「保育・教育臨床と心理臨床の統合」この本は、言語、情緒、社会性、遊び、などの発達の知識に関して、発達障害のある子を中心とした視点で得られます。 また、そのような視点を元にどのような支援が必要かについて、いくつかの療育プロ…

読了[476冊目]中川信子『1・2・3歳ことばの遅い子 ことばを育てる暮らしのヒント』☆☆☆

一番気に入ったことば「ほんとうにことばを覚えてゆくためには、「今、ここにいる、〇ちゃん」にむかって話されることばが一番大事。」 この本はことばの理解・表出が遅いなと感じる保護者向けの本です。 基本的な内容と、Q&A方式によるよくある悩みについ…

読了[475冊目]大隅典子『脳からみた自閉症』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ドーハッド仮説」 本書が2016年刊行なので、その時点で分かっている自閉症に関する脳科学の研究成果について紹介されています。 基本事項やこれまでの定説にも触れられていて、非常にわかりやすく書かれています。 但し、あくまで脳科…

本日読了[474冊目]熊野宏昭『実践!マインドフルネス』☆☆☆

一番気に入ったことば「マインドフルネス瞑想の実践法」この本は、会社で上から業務として「ヨガと瞑想」が強制(ラジオ体操みたいな感じ?)される中で、 瞑想が、よりスタッフのストレス低減になればと思いマインドフルネスの知見を広めるために読みました…

読了[473冊目]亀口憲治『家族療法的カウンセリング』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「円環的質問法」 専門家向けです。中でも亀口先生の家族療法を学びたい人向けです。 学会で拝見した亀口先生の個人的な印象ですが、非常に博識で経験豊富な臨床家であり、同業の者からカリスマ性を感じるに値する言葉と態度が見られま…

読了[472冊目]中川信子『ことばの遅れのすべてがわかる本』☆☆☆

一番気に入ったことば「インリアル・アプローチ」 この本は保護者の方向けに、子どもの言葉の遅れが気になる場合の対応方法や養育の方法について書かれたものです。 専門家の私は子どもへの関わり方を学ぶというよりも、親御さんへのアドバイスをする場合の…

読了[471冊目]橘玲『言ってはいけない 残酷すぎる真実』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「オキシトシンが(中略)仕事に行くとその供給が途切れてしまう」 この本は、表面上は人々の関心・興味に対して甘言を与えるようなキャッチーな題名、帯の言葉が目立ちますが実際中身を読むと、研究成果に基づいて常識や通説、俗説にメス…

読了[470冊目]ヘルマン・ヘッセ、高橋健二訳『デミアン』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「人はカメのように自己自身の中に完全にもぐり込まなければならない」 この本は大学時代の親友に勧められて読みました。 主人公シンクレールの内省や、家族や他者との関わりの中で感じる狭窄さは、(大人になった読者からみて)若さ故…