たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

(497冊目)木村順(監)『発達障害の子の読み書き遊びコミュニケーション遊び』☆☆☆

一番気に入ったことば「花粉症の人が、杉林で花粉に慣れる特訓をするでしょうか?」

 

発達障害の性質、特に感覚に関する問題に対しては、我慢や繰り返しの訓練が有効でないことを明確に表したことばですね。

 

もちろん、定型発達児(所謂普通の子)には我慢や繰り返しの訓練が有効です。しかし”特別な支援”が必要な子に対してはそれが有効でないだけでなく、そのような子どもを苦しめたり苦痛を与えたりして二次障害を発症する要因になったりもします。

 

この本では、読み書き計算、文章題が苦手、話すことや説明することが苦手、会話が苦手、空気が読めない、ルールに無頓着、模倣が苦手といった問題を感覚統合の問題とし、感覚の能力を育む遊びのヒントが15種類載っています。

 

コラムにて大人が「避けたい言葉」→「いけません!(禁止語)」、「しなさい!(命令語)」、「~しないと!(脅し語)」、「ちょっと!(感情語)」について言及されているのも興味深かったです。それらのことばがけが(発達障害を抱える)子どもにどのような悪影響を与えるかについて言及しています。また、遊びは楽しいことが原則で、強制的な学びになってはいけないとか、発達的視点と療育的視点を踏まえ本人に寄り添うことが必要なことなど、療育を行う者に必要な基本的な態度についても学べます。