読了[490冊目]シンシア・ウィッタム、上林靖子他(訳)『ADHDのペアレントトレーニング むずかしい子にやさしい子育て』☆☆☆

一番気に入ったことば「ほめるということには、ことばだけでなくいろいろな要素があります。」

 

 

仕事でペアレントレーニングを行おうと思っています。そのために読みました。

 

この本はABA(applied behavior analysis:応用行動分析学)を基本としてADHDを主に、子育て中に起こる子どもの困った行動に対応するための技法が述べられています。

 

ただし私の経験では、ADHDでも中等度以上の知的障害がある子にはこの本に載っている対応をしてもうまくいかないどころか、場合によってはより悪い結果になる可能性があると思いました。

 

あくまでことばの理解が十分にできる知的レベルの子を持つ親御さんが対象で、子どもの言語・認知レベルは少なくとも4歳以上が必要だと思います。

 

全体としてみればABAの知識を基にした適応的行動やスモールステップでの行動形成が取り上げられていますが、残念ながら著者はABAを部分的に学んでいるか、あるいはその技法を間接的に学んだうえで独自のやり方を提案しているようです。

 

ということで、ABAの専門家からするとこの本の基盤であるUCLAの精神神経医学研究所で開発された親訓練プログラム自体が未完成なものであり、それを輸入してペアレントレーニングをしている国立精神・神経センターにも疑問を抱いてしまいます。

 

この本の初版は2002年であり、約20年前という歳月が経ちABAはもちろん養育の知識(とともに私の知識)がアップデートされたが故にずれを感じるのかもしれません。

 

この本を読んで実践した親御さんが、うまくいったのならよいのですが…そうでないならABAを専門とする臨床心理士等に助言を求めるとよいと思います。因みに我が国においては臨床心理士公認心理師でもABAの知識は個人差があります。

 

今度この著書の翻訳者に会う機会があるので質問、議論したいと思っています。

 

 

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育