一番気に入ったことば「人はカメのように自己自身の中に完全にもぐり込まなければならない」
この本は大学時代の親友に勧められて読みました。
主人公シンクレールの内省や、家族や他者との関わりの中で感じる狭窄さは、(大人になった読者からみて)若さ故のそれと言うべきか、
それとも過去の自分の浅薄な思考の追視体験になるのか。
同年代の読者であれば、その思考がリアルに感じられるか。
あるいは文化的な違いやパーソナリティの違いに拒否反応を覚えるか。
物語のほとんどの部分がシンクレールの内言(あるいは感覚)を繊細な言葉で表現していることに、この作品の価値があると思います。
つまり、作中に語られる言葉、その感情に共感できるか、それとも違和感を覚えるかによってこの作品の評価は分かれると思います。
醜いと自分自身が思う内面を、美しいと思われる言葉で表現した作品です。
- 作者: ヘッセ,高橋健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/12/04
- メディア: 文庫
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