一番気に入ったことば「ドーハッド仮説」
本書が2016年刊行なので、その時点で分かっている自閉症に関する脳科学の研究成果について紹介されています。
基本事項やこれまでの定説にも触れられていて、非常にわかりやすく書かれています。
但し、あくまで脳科学の本なので、ASDを抱える子の支援者や親が読んでもすぐには役に立たないと思います。
私は自閉症(自閉スペクトラム症:以下ASD)の発生機序について知りたいと思ったので内容的には満足です。
シモンズ財団で公表されている最も研究が進んでいる30の関連遺伝子や、オキシトシンによる自閉傾向の改善傾向がみられる研究が熱い。
父親の加齢によってASDの発症リスクが上がるのは他の文献、メディアでも有名な話です(オキシトシンもね)。
胎児期の環境や、PAX6遺伝子との関連はこれからの研究に期待という、非常にワクワクする感じを抱きました。
私自身は研究者ではないです。寧ろ現場でASDを抱える子の支援を行うのが本業なのですが、
基礎研究の知見は保護者への説明に役立つし、私たち専門家が支援を行う上での行動の根拠になり得ます。
脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ (ブルーバックス)
- 作者: 大隅典子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/21
- メディア: 新書
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