[111冊目]暉峻康隆『日本人の愛と性』☆☆☆

一番気に入ったことば「仏教各派や神道は、性愛についてまことに寛容である。」


男女の性愛を、文学から読み解く。


人文学(特に歴史系)に喧嘩を売るようだが、文学からはたして現実が見えるのだろうか。


たとえば現代の愛と性を読み解くとして、ラノベの世界から女性に対する男性の趣味嗜好を推考したり、少女マンガから男性への女性の趣味嗜好を読み解こうとするようなものではないか。


それらは一部の偏った人々の心の内を表しているに過ぎないのではないだろうか。


この本には歌がよくでてくるが、そこからわかる恋愛観はあくまで当時歌をつくれるような身分と知識があった人に限定されてしまうだろうし、作者の理想や技巧といった現実から乖離したものが詩歌などの文学には含まれるはずである。


この本について作者がどれだけ上記の点を考慮したかはわからないが、やはり時代が進むにつれ社会的な背景を叙述していく傾向にあった。


歴史に限らないが、事実を読み解く場合には人間の所産のみに依るのではなく、その周囲を取り巻く社会をも考慮に入れなければならない。


日本人の愛と性 (岩波新書)

日本人の愛と性 (岩波新書)