(502冊目)ジェド・ベイカー(著)竹迫仁子(訳)『おこりんぼうさんのペアレント・トレーニング』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「まず、おとなが自分自身の気分をコントロールできるようになりましょう」

 

この本は主に養育者向けに、ABA(応用行動分析)を基盤とした子どもの困った行動への対処法を述べたものです。

 

この本の「はじめに」では、情緒に問題のある子に対して、大人が陥りがちな考えとして、わかっているのにやりたがらないだけだから厳しく躾けるというのは間違っていると述べています。

 

私が会社の内部研修を行った際、「(罰のデメリットをつたえても)私は怒ることをやめない」と言った人や「(効果的でない養育方法について)今のやり方を変えない」と言った人がいます。

そのような人になぜと聞くと、たいてい「私は怒られて学んできたことが自分にとって良かったと思う」や「今のやり方でうまくいっている(あるいは失敗していない)」と言うのです。

 

そこで私は議論をやめてしまうのです。というのは自分が間違っていないと思う人は、他者から学ぼうとせず、自分の主観的経験が全てなので、これ以上説得しようとしても意味がないと思うからです。

本当は「あなたは定型発達ですよね?」とか「今怒鳴りつけて黙らせることは、将来の非行・犯罪少年を作り上げることですよ」とか「なぜ子どもの気持ちになって考えることができないのか」とかとか言いたくなるのですが、きっとそんなことを言っても上記のような人には届かず、単に私に対する心象が悪くなるだけでしょう。

 

もちろん、研修の後、教えたスキルを現場で使う人や、子どもとの関わり・声掛けの仕方が変化する人もいますので、研修そのものが無駄だとは思ってはいません。

 

さて、この本の内容ですが、報酬と罰だけではうまくいかないときに、報酬と罰の見直しをするほか、行動の引き金になる刺激や状況を操作することや、子どものソーシャルスキルを伸ばすこと、生理的・身体的な要因について考えることといった多角的な視点から子どもの困った行動への対処法を学べます。

 

この本を手に取る人は養育者・子どもの支援者に関わらず、知的には勿論、学ぼうとする動機づけもかなり高い人だと思います。

 

ABAやこの本のスキルを多くの人が身につけ、障害のあるなしに関わらず大人と子どものポジティブな関係性が増えることを願っています。