(508冊目)大河原美以『怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「怒りの問題は、哀しみの問題であり、罪悪感の問題であり、人を人たらしめる感情の根本の問題です。」

 

ことばを用いて他者と感情を共有することを感情の社会化と言います。

著者は「思いやりをもちなさい」と伝えると「思いやりが育つ」と考えるのは錯覚だと述べます。

 

私も同感です。「言えばわかる」と思って子どもを育てるのは勘違いだと思います。例えば私の会社では、知的障害が重度から最重度の子どもに複雑なルールや社会的マナーをことばで教えようとする方がいます。そして言うことを聞けないと怒鳴りつける。私は傍から見て悲しい気持ちになります。

 

この本では、まず親が抱きがちの「よい子」に育てようとする考えを、①「他者からみてよい子であることを願う」→叱ることをやめられない親 ②「親に対してよい子であることを願う」→叱るのがこわくて叱れない ③「子ども自身が本当の意味でよい子に育つことを願う」の3つに分類します。そして小さいころに感情を抑制されたこどもが後に問題を表出することをケースとして挙げています。

 

勿論、問題は子育てのみに原因があるわけではなく、発達障害や家族・学校での生活面での不協和といったものも関係する場合があります。

 

援助方法について述べられている章では、対話形式で、一般的な子どもと大人のやりとりと、それを踏まえたより良いやりとりと、著者による解説が載っています。臨床心理士公認心理師ならその違い(技術)について納得するものですが、子どもを変えようとする親や教師にはその違いがわかっても実践できずにずっと平行線のまま伝わらないような気がしました。

 

子どもを変えようと思うなら、まず自分自身が変わらないといけない。それに気付ける人はどれくらいいるでしょう。教育に毒されている人は子どもを下にみて「教える」ことで問題を解決しようとしがちです。

 

多くの人は間違っていると言われることに条件反射的に抵抗感を覚えるし、また、自分自身が間違っていると考えることは苦しいですからね。

 

おっと、私自身もここでネガティブな感情を露わにしてしまいました。

 

著者はポジティブな感情もネガティブな感情も両方大切にしていくことが重要だと述べます。それらは心のエネルギーであり、それらを子ども自身がどう扱っていくのか。

大人は時に子どもに共感し、時に子どもを尊重しつつ、子どもの感情を育んでいく姿勢が求められます。