たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

2012-01-01から1年間の記事一覧

本日読了[279冊目]佐々木正人『アフォーダンス −新しい認知の理論』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「アフォーダンスとは、環境が動物に提供する「価値」のことである。」 環境は情報を持ち、私たちの知覚システムと相互作用している。 僕は主観が世界の多くを規定すると思っているのですが、ここまで科学的に、現実に忠実に説明される…

本日読了[278冊目]藤田恒夫『腸は考える』☆☆☆

一番気に入ったことば「酒は胃を強健にする」 最近大学で頭の固い先生に心を折られる出来事があったので、権威があっても頭の柔らかさ、人当たりの柔らかさを持ち続けられる人の素晴らしさをあらためて感じました。 生理学については基本的なことしか知らな…

昨日読了[277冊目]渡辺茂『認知の起源をさぐる』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「わたしたちは他人のこころを「完全に知ること」はできない。」 心理学をやってると言うと、心が透けて見えるような印象を持たれることがたまにありますが、むしろ学問的な偏向バイアスがかかって、より分かりにくくなっているようにも…

本日読了[276冊目]辻真吾『Pythonスタートブック』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「turtleモジュール」 Pythonにはカメがいます。こいつが色々やってくれます。…てPython使ったことない人にはわからないっすよね(^_^;) そもそも殆どの人にとってPythonって何のこっちゃ?って感じかと思われます。 Pythonはプログラミ…

1月19日読了[275冊目]マット・リドレー/中村桂子・齊藤隆央『やわらかな遺伝子』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ナッシング・バッテリー(nothing buttery)」 心理学に関する知見が豊富に載っているので、これまで習った心理学の知識の復習に役立ちました。 専門的な用語も見られますが、適度なユーモアの文章が楽しく読ませてくれました。 人を…

本日読了[256冊目]スティーブン・ピンカー/山下篤子訳『人間の本性を考える(上) 心は「空白の石板」か』☆☆☆

一番気に入ったことば「文化もまた人間本性に結びつく」 先に読んだ本と同じような「生まれ」か「育ち」か論争について。 こちらはユーモアがあまりなく、著者の真面目さが際立っています。 未だにブランク・スレート説を支持している人っているのか? 心が…

げーむみゅーじっくものろーぐ

最近ユーチューブで少年時代に好きだったRPGの音楽を聞いています。 感動するほど心が震えるのですが、これはそのゲームが好きだった人しか感じ得ないもの、だと思います。 音楽そのものの良さだけではないし、もちろん当時ゲームをしていた時にいちいち…

本日読了[274冊目]永井均『マンガは哲学する』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「哲学的感度」 ぼくがそうであったように、子どもは漫画(やアニメ)を通して哲学や倫理を感じることが多いと思います。 著者がまえがきで記述しているように、確かに漫画は発想の破天荒という点で他のジャンルを凌駕しているし、哲学…

本日読了[273冊目]佐々木正宏・大貫敬一『カウンセラーの仕事の実際』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「実は人間関係を苦手とする人が、カウンセラーの立場をとることで他者とかかわろうとしているのではないかと感じることがある。」 今にして思えば間違っていて恥ずかしい話ですが、大学入学前の僕は、心理学的知識の獲得というしるしの…

本日読了[272冊目]フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「共感」 すごい小説でした。 ザッハートルテとレアチーズケーキを一度に食べるくらい甘くて濃厚で、それでいて苦みと塩味が絶妙な塩梅で次から次へと口に運ぶのがやめられない。そんな中毒性のある思考の渦へと導いてくれます。 普通の…

本日読了[271冊目]ニコラス・ハンフリー/垂水雄二訳『喪失と獲得 進化心理学から見た心と体』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「感覚的な気づき(awareness)は一つの能動的作用(activity)なのである。」 進化心理学の本かと思ったら、あまり実証的な心理学の話はでてきません。 進化心理学では動物実験、チンパンジーを主とする霊長類の実験結果からなる知見と、歴…