本日読了[271冊目]ニコラス・ハンフリー/垂水雄二訳『喪失と獲得 進化心理学から見た心と体』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「感覚的な気づき(awareness)は一つの能動的作用(activity)なのである。」


進化心理学の本かと思ったら、あまり実証的な心理学の話はでてきません。


進化心理学では動物実験チンパンジーを主とする霊長類の実験結果からなる知見と、歴史、文化史からなる知見を、進化論の観点で人間一般に当てはめて考察します。


この本は思弁的な内容がほとんどなので、現在学習中の比較心理学の役にはたたないようです。


それでも著者の発想には意表を突くものが多いので、実に面白かったです。


特に感覚器官において、外部環境からの刺激への局所的反応から、その反応が内的なものとなり「私物化」され、脳という中枢機関が作られたという考えは実に興味深い。


ハンフリー自身は心理学者ということですが、心理学者というよりは哲学者の書く本に近いように感じました。


その発想に科学的根拠を厳密に求めて行き詰まってしまうのは、僕の科学的知見が不足しているからかもしれません。



喪失と獲得―進化心理学から見た心と体

喪失と獲得―進化心理学から見た心と体