たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

(561冊目)キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』☆☆☆

一番気に入ったことば「能力をほめると生徒の知能が下がり、努力をほめると生徒の知能が上がった

 

褒め方の本について調べていて見つけた本です。

 

褒め方についての研究知見は役に立ちました。

 

著者は心理学者です。内容は心理学というより啓蒙書の分野になると思います。

 

約350ページに渡って、ずーっとしなやかマインドセット(growth mindset)と硬直マインドセット(fixed mindset)について語っています

 

しなやかマインドセットとは、自分のもつ基本的資質や能力は努力次第で変化させ向上させることができるという信念のことです。

 

硬直マインドセットは、自分の基本的資質は変わらず、能力の高低に依拠した考え方をする人のことです。

 

硬直マインドセットの人は自分の能力に自信を持つ傍ら他者からの評価を気にします。しなやかマインドセットの人は自分の能力は変化するものだという信念から自分を向上させるためにどうすべきかという視点で考えます。

 

著者はスポーツ、ビジネス、他者との付き合い、教育の4つの分野から、具体例をあげてしなやかマインドセットの人と硬直マインドセットの人の考え方と事例について述べています。

 

この著者の主張からすると、私の場合、常に勉強・努力しているので、しなやかマインドセットのように思われますが、どうもその原動力は不満や不安というネガティブな考えに依拠しているようで、人からの評価を気にしている硬直マインドセットのようにも思えます。

 

極端にどちらか、という人もいるかもしれませんが、多くの人はしなやかマインドセットと硬直マインドセットの両方が状況や問題によって絡み合っているのだと思います。