一番気に言ったことば「本人の状況は、しばしば、かなりの努力によって維持されていることを忘れてはいけません」
「ひきこもり」状態にある人に対して、著者の経験と、著者が傾倒するラカン及び精神分析系の思想による解釈を学べる本です。
僕自身は臨床心理学の中では、認知行動系の思想に傾倒しているので、拒否や否定から読み始めました。
しかしなるほどと頷ける言葉が多かったのは著者の経験によるところが存分に発揮されて文章が造られているからだと思いました。
この本の主軸である精神分析的な「ひきこもり」状態への理解と対処法ですが、どんな学派に傾倒していても知っておいて損は無い内容だと思います。
僕は、正直精神分析系の考え方は嫌いなのですが、そこから学べるものもあるし、嫌いならちゃんと学んだ上で批判するべきだと思って結構精神分析系の本もちょこちょこ読みます。
この本の内容は、僕の好きな思想体系である、家族システム論(家族療法)に関係する内容を含んでいると思います。
自分の傾倒する学派や他の学派と共通する点や、相反する点について考えるのも面白いですね。
ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ (ちくま文庫)
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 文庫
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