たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

(549冊目)エマ・ウィリアムズ他(著)、壁屋康洋他(約)『アンガーコントロールトレーニング 怒りを上手に抑えるためのステップガイド』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「ACTプログラム」

 

この本は認知行動理論と社会学習理論に基づくアンガーコントロール(アンガーマネジメント)のプログラム実施者向けのマニュアルです。

 

全12回、1回2時間で行うプログラムで、アセスメントやホームワークなど、しっかりとしたプログラム実施の為の記載がしてあります。

 

利用可能な専門家は、心理士他、作業療法士精神科医、精神科看護師、保護観察官ソーシャルワーカー、教師となっています。

 

私が読んだ感じだと、認知行動療法(認知行動理論)や学習心理学(社会学習理論)を理解していないと実施は難しいかなと思いました。

 

なので、上記専門家であっても、元となる理論や療法はある程度学んでから実施するのがよいでしょう。

 

そうでないと、このセッションで行っていることは行動変容にどのような心理的機序があり、どうしてアンガーマネジメントに有効なのかがわからないからです。

 

そのような状態でこのマニュアルの通りに実施しても、効果が薄れるかもしれません。また、背景知識がないと参加者からの質問に対し曖昧な返答をすることになり、プログラム実施に重要なラポールの形成にネガティブな影響がでてしまうと考えられるからです。

 

ただし、きちんとした専門家のもとであれば、このプログラムは非常に有効だと感じました。

 

私は、本当ならすぐにでもこのプログラムを実施したいのですが、今は社の大きなプロジェクトを任されているので、それが終了して、早ければ来年度の4月以降には、必要な方に提供できるよう準備したいと思います。