一番気に入った言葉「「小さな大人」説を信じる大人は、幼い子どもにわからせようとしてことばや理屈にかなりの重きを置きます。」
魔法の1・2・3方式とは、タイムアウトを行うためのカウントダウンのことです。
この本では、親、または養育者がよく犯す大きな間違いとして、「しゃべりすぎる」ことと、「感情的になる」ことをあげています。
また、怒りを元とした説教を行うことで「話す→説得する→言い争う→怒鳴る→叩く症候群」に繋がるとしています。
この症候群のどれもが、大人たちは自分たちが子どもを知的にあるいは身体的に低く、力で制圧可能だという根本的な思考を抱いているからだと思います。
他者、特に子どもは大人の思い通りに動くはずはなく、(個人差はありますが)大人を怒らせるようなことをするものです。
その際に、怒鳴りつけたり、叩いたりする親は、自分の怒りのコントロールができないだけでなく、どうすればいいかわからなくなっていて冷静さを失っている状態、つまり癇癪を起しているに過ぎない。
子どもを怒鳴りつけたり、叩くなどの暴力を振るうのは間違ったやり方だと断言しています。
またこの本では、子どもは野生動物であり、親はトレーナーだと言い切っているのが痛快です。
しつけとは、言葉で伝える、説教するのではなく、トレーニングなのだというのです。
著者は臨床心理学者です。この本では明確な言及はされていませんが、この子育て方法の元となっているのは応用行動分析や行動療法なのは間違いありません。それを著者がアレンジしています。
キャッチ―な「魔法の1・2・3方式」は、主に子どもの不適応行動に対応する方法ですが、やりたいことをさせるにはまず「褒める」こと、そして親子の関係性を良くする為に子どもの話を「聴く」ことや、話し合いをする際に何を教えるのか、など、親としての心構え、また現代的なパソコンやゲーム、携帯電話との付き合い方など、子育てに必要な知識をたくさん学べる内容になっています。
子どもの行動を良くしたい、つまり不適応行動を減らして適応的な行動を増やしたい(習慣づけたい)ならば、親自身が正しい方法でしつけや養育ができるように、変わらなければならない、そういうことです。