一番気に入ったことば「その絶対的孤独から日常的には目を逸らせている。」
中島義道は僕の好きな作家の一人です。語ったことが無いので哲学者としての彼は知りませんがw
高校中級レベル以上の国語力があれば、彼の解り易い言葉で表現される哲学は面白いと感じるのではないでしょうか。
この本は死という概念から時間、自己、そして無について考察を進めていく構成となっています。
特に僕は自己、とりわけ他者と共有できない自我について興味があるので楽しく読ませていただきました。
死の概念は主観的側面(自我の消滅)、社会的側面(故人の影響)、一般的側面(喪失感)、宗教的側面(精神の安寧)などなど様々な捉え方があるので一義的な死の概念については語れないのです。
最近知り合いから人付き合いが嫌になるような言葉を頂き、ドラクエⅣのホフマンの言葉が頭に浮かんできます。
絶対的孤独は、他者の世界を全く知ることができないと気付いた中学生の頃を思い出させます。
しかし真実である絶対的孤独も、他者との意思伝達という行為によって想像の世界を膨らませることで(自我とは別の)「社会という幻想」の中に存在を確認することは可能です。
絶対的孤独にとっては死も生も等価ですが、社会の中で生きる自分にとってはまだまだ生きる価値があると思っています。
- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/10/05
- メディア: 単行本
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