一番気に入ったことば「パーソナリティを変えようとしない」
パーソナリティ障害とは、ものの捉え方や考え方に偏りがあり、社会的な生活に不適応を起こしており、本人あるいは近しい人が生活に困難さを抱えている場合に診断されます。
統計的な診断マニュアルである、DSM-Ⅳでは
A群(奇妙で風変わりな考え方や行動を特徴とする)
・妄想性パーソナリティ障害:他者に対する不信感や猜疑心が強く、他者と強調しにくい。
・スキゾイド・パーソナリティ障害:孤独を好み、他人への関心が薄い。感情表出も乏しい。
・スキゾタイパル(統合失調症型)パーソナリティ障害:奇妙な考えや身体感覚があり、常識から逸脱した言動をとる。
B群(感情的かつ衝動的で周囲を巻き込みやすい)
・反社会性パーソナリティ障害:犯罪や詐欺などの反社会的な行動をとっても罪悪感を覚えず、不正直で冷淡。
・境界性パーソナリティ障害:感情や対人関係が不安定。他者に依存しやすく、自傷行為、過食、浪費など衝動行為をしやすい。
・演技性パーソナリティ障害:威勢の注目を得ようと派手な服装や演技的言動を示す。
・自己愛性パーソナリティ障害:自己誇大感、他者評価への過敏さ、他者に対する共感性のなさが特徴。
C群(不安や恐怖心が強く内向的)
・回避性パーソナリティ障害:他者の批判や拒絶を恐れ、社会参加が困難になる。
・依存性パーソナリティ障害:他者への過度な依存があり、その対象に服従し、自らが社会的責任を負わない。
・強迫性パーソナリティ障害:過度に几帳面で秩序を重んじる。完全主義。細かいことが気になる。柔軟性が無い。
の他に、特定不能のパーソナリティ障害が挙げられています。
この本では更に、注目すべきパーソナリティ障害として
・サイクロイド・パーソナリティ障害:本来は社交的で仕事熱心だが、心身が疲弊しやすく、うつ状態や衝動的行為が起こりやすい。
・サイクロタイパル・パーソナリティ障害:サイクロイド・パーソナリティ障害と同様のパーソナリティだが、別人の様な性格を現す。
が挙げられていました。
ここでは簡単に説明しましたが、強調しておきたいのは、これらのパーソナリティ(性格)傾向があったからといって、安易にパーソナリティ障害だとは言えないことです。
単にナルシストだから自己愛性パーソナリティ障害だとか、一人で過ごすのが好きだからスキゾイド・パーソナリティ障害だとか言えるわけではありません。
たとえDSMの診断基準に当てはまったとしても、対人関係や社会生活上の困難が見られなければパーソナリティ障害とはみなされません。
個人的には、心理臨床的関与を行っていくうえで、パーソナリティ障害に着目するよりも、そこから現れる不安障害やうつ病、あるいは衝動行為などに起因する社会生活上の困難さに着目して治療、援助活動をしていくのが望ましいと考えています。
図解 やさしくわかるパーソナリティ障害 正しい理解と付き合い方
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