(510冊目)草薙敦子『ドキュメント発達障害と少年犯罪』☆☆☆

一番気に入ったことば「「広汎性発達障害」は事件の「特殊性」を説明するものであって、「発生原因」そのものではない」

 

筆者も強調していますが、発達障害そのものが非行・犯罪の原因とはならないことはこれまでのブログ記事でも記述しました。

 

発達障害が幼少期から明確に現れる場合、対象児の多くは私の専門である児童発達支援他の社会的支援を受けたり、家族からの個別的に支援を受けたりします。

 

一方で所謂グレーゾーンの子や、ぱっと見は(会話していても)定型発達児と区別がつかない子は、定型発達の子同様の扱いを受け、個別的に必要な支援が受けられない場合があります。

 

「広汎性発達障害」という診断基準は、2013年より前に使用されていたDSM4-TRまでの名称ですが、2013年以降の最新診断基準DSM5では、自閉スペクトラム症という名称になり、その基準や範囲が変わっています。

 

広汎性発達障害も割と範囲の広い診断基準であったと思いますが、自閉スペクトラム症もその特性や重症度(軽症度?)において範囲が広いです。

 

その範囲の広さへの批判として、以前は診断基準に満たなかった子も診断されるようになり、問題のない子も発達障害と診断されてしまうと主張する方がいます。

 

私は、DSM5における発達障害の診断基準範囲の広さには一長一短があると思いますが、これまで支援の手が届かなかった子に対して個別的支援が受けられる可能性が高まったり、一般の方の認識が高まったりというメリットもあるのではないかと思っています。

 

但し、まだまだ日本は発達障害に対する支援者の教育が不足しており、欧米に比べ制度も未熟です。

 

これから10年、20年かけて発達障害児支援者の質・量ともに向上していくことを期待しています。勿論私自身もそのための努力を惜しまないつもりです。