一番気に入ったことば「親の状態と直面する困難」
「親の状態と直面する困難」(『ひきこもり支援者読本』p.112からの引用)
(1)家族(親)の状態
①自身を失っている(自己価値低下)
②親類・地域・友人から孤立している(社会的孤立)
③自分に対する評価を気にしている(他者評価による傷つき・恐れ)
④将来に対して大きな不安感を抱えている
⑤どうすれば良いか分からないでいる
⑥疲れ果てている・困り果てている(疲労感・徒労感・困惑感)
(2)家族(親)が直面している困難
①子どもの生活状況や問題(行動)を理解できないこと
②問題の解決方法がわからないこと・思い付かないこと
③社会からのネガティブな評価によるつらさ・苦しさ(社会の誤った理解・評価)
④打開策がないこと、出口・脱出口が見つからないこと
⑤未来や将来に対して希望を失っていること
ひきこもりケースの相談では、家族(親)の支援が重要です。
本人の環境調節のために家族にも援助に参加してもらうことも必要ですが
やはりひきこもり状態の子どもを持つ親の心理的な負担は大きいと思います。
そこをケアするのも重要ということです。
ひきこもりの分類としては、
①統合失調症、気分障害、不安障害などの精神疾患を主診断とするケース
②ASDや精神遅滞など発達障害を主診断とするケース
③パーソナリティ障害(やその傾向)、身体表現性障害(DSM-Ⅳの基準→DSM-5だと強迫性障害に分類されるBody dysmorphic[身体醜形障害]やJikoshu-kyohu[自己臭恐怖]かな)、同一性の問題などを主診断とするケース
があります。
ひきこもりの定義では、通常非精神病性の現象とされる、とありますが
本人が相談に来た段階で上記の様な精神疾患やパーソナリティ障害の診断がつく可能性が高いと思われます。
個々人の状況や悩みに着目するのはもちろんですが、このような精神的病理の側面から問題を見ていく力も
臨床心理士には必要不可欠だと思っています。
ちなみにこの本はアマゾンでは売っていませんが、冊子になったものが図書館などにあります。
ウェブでPDFファイルをダウンロードすることもできます。
あくまで専門家のための本ですが、ひきこもりの支援者にとっては必読本でしょう。