昨日臨床系心理学の先生による講演に行ってきました。
テーマは「心理臨床におけるユーモアについて −絵本から考えユーモア感−」ということで、橘玲子先生自身の関心とカウンセリングの現場との共通点の思索のお話を伺えました。
講演のほとんどが橘先生の気に入った絵本の紹介と読み聞かせによるものでしたが…
そこには実際のカウンセリングの現場で、特に児童とのコミュニケーションにおいてよく見られる、規範を逸脱する行為をどう捉えるのか。という問題が含まれているように思えました。
社会生活を送るうえで、規範や論理的な態度は必要不可欠ですが、発達障害や精神病理にある人はそれらの範囲から逸脱してしまう傾向が顕著です。
そのような態度を単に一般的な見解から「間違っている」と見るのではなく、絵本に見られるような、規範を越えたところにあるユーモアを見出すことによって、カウンセラーがクライエントに対応する際のイメージに「遊びと余裕」を持つことの大切さが主な主張かなと思いました。
どのようなイメージをもって他者に言葉を発するのかというのはとても大事な思考の一つです。
文脈にもよりますが、例えば理解を示す際に、怒鳴るように「「そうだね!」」と言うのと、無表情で冷めた「そーだね」と言うのと、笑顔でゆっくりと「そうだねぇー」と言うのとではまったく違う印象を相手に与えることになるし、言葉の意味も違ってきます。…まぁ、そうですよね。
話し言葉は、その言葉の持つ純粋な意味の他に、文脈、抑揚、間、声質、そして表情や状況といったものまで加味されたかなり複雑な情報伝達の方法です。
一緒に行った同じ心理学専攻の人がいるのですが、選択する言葉や返答の柔らかさに、彼女の思慮深さがみられ、声質も落ち着いていて優しく、基本的に笑顔を絶やさない。
こういう人はカウンセラーや教育者なんかに向いているかもしれない。そう思いました。
僕も彼女に癒されてしまいました。