一番気に入ったことば「私たち人間がコンピュータもはるかに及ばない推論的処理能力で(…)さまざまなポライトネス方略を駆使しているという事実」
タイトルが気になり読んでみました。
臨床心理活動に役立たせるような語用論の勉強も必要だと思ったのもあります。
この本は、敬語とは何かから始まり、言語と現象としての文脈、つまり会話の協調原理に続き、ポライトネスについてわかりやすく説明されています。
心理学では、人同士がわかりあうことは心の理論に代表される他者の(言語活動を含む)行動に関する情報を処理する能力に着目します。
言語学では意味を伝えるために使用される、同種の言葉、あるいは類語について分析していくことで、他者の意図とその伝わり方、伝わる程度について考察していくようです。
言葉を効果的に使用することを生業とする臨床心理士として、言語学、とりわけ語用論は学習すべき分野の一つであると言えます。
ところで、著者である福田先生には何度かお会いしたことがあるものの、同じ大学にいながら直接講義を受けたことはありません。
それでもいつもニコニコしていて関西弁での軽妙な語りに好感を抱いていました。
大学では専門である心理学以外にも哲学や文学、ドイツ語や文化思想なんかを摘み食いしましたが、もっと色々学びたかったなー。
人はなぜわかり合えるのか 言語学から見たコミュニケーションの仕組み (ブックレット新潟大学53)
- 作者:福田一雄
- 発売日: 2010/03/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)