本日読了[323冊目]ベンジャミン・リベット/下條信輔訳『マインド・タイム 脳と意識の時間』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「意識を伴った自由意志は最終的な「今、動こう」とするプロセスを起動するものではない」



いわゆる心脳問題に対して、多くの議論をよんだ研究をまとめた著書。


意識よりも脳活動が先に始まっているという脳神経科学的知見は、ともすると機械論的決定論的人間観に陥り易い。


しかしリベットは、そのような考えに対して本書で丁寧な解説と共に、自由意志を否定するものではないとしている。


そして脳神経活動と意識はあくまで相関的なものであり、意識の解明にはまだ至っていないとし、物理現象からどのようにして精神が生起するのかについて、独自の精神の場理論を提供する。


実験に関しても、哲学者との議論に関しても、丁寧で新潮な議論を行っており、読みこなすには相当な脳神経科学、哲学の知識が必要だし、かなりの労力も必要なように思います。


ゆえに読む人を選ぶ本だと思います。(まぁ専門書だからあたりまえか)


学部1年か2年の時に、このリベットの知見から、意識は物理現象の結果だと議論を仕掛けてきた友人がいました。僕は自由意志擁護派なので、哲学的知見から反論したのですが、イマイチ伝わらなかったのを覚えています。


意識の研究には、脳神経科学だけではなく、哲学、心理学、場合によっては生理学や遺伝学などの学際的知見が必要です。



マインド・タイム 脳と意識の時間

マインド・タイム 脳と意識の時間