一番気に入ったことば「次元モデル」
「アナログ研究」って、コスト面や倫理面を鑑みると臨床群の研究がしにくい場合に行うものでしょ
…と考えていた自分が恥ずかしい
この本には実に興味深いアナログ研究のレビューが沢山載っています。
自分がいかに臨床心理学に関する知見に乏しいかを知ることとなりました(^_^;)
興味深い知見として、僕自身感覚的に、ある種の精神病理と健常に連続性があると思っていたのですが
ちゃんとそこについて研究されてるんだなーというのがありました。
Taxometric分析によって、最近では様々な障害や疾患について、精神病理と健常との連続性が示唆される結果がみられています。
例えばうつ病はタイプや測定法によって、不安障害では社会不安やPTSD、境界性パーソナリティ障害、
ADHDなどはおそらく連続性があるとみなされているようです。
また、ある研究では、37〜39%の(一般)大学生が幻聴を体験したことがあるとの報告もあるそうです。
もちろん、アナログ研究の方法についても、実験の際の気分誘導方法を用いる際の工夫や個人差を用いた介入研究、実験による介入研究など、あらためて様々な方法で臨床心理学に関する研究がなされていることを知りました。
そして非臨床群であっても、工夫やアイディア次第で精神病理に関する知見が得られることを知り、
今後の研究活動の興味や期待が増しました。
また、アナログ研究だからこそ得られる知見もあります。
やはり心理学研究は、創意工夫、アイディアで勝負ですよ(*^^)v
情報量が多く、だいぶ読むのに時間がかかったのですが、もう一回最初から読みたいくらい面白かったです。
※次元モデル:心理的障害と健常の違いは同じ次元上の程度の差であるとするモデル。↔カテゴリカルモデル
※カテゴリカルモデル:心理的障害と健常の間や心理的障害の相互間には質的断絶があるとするモデル。
- 作者: 杉浦義典
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る