一番気に入ったことば「これが、生きるってことだったのか?よし!じゃ、もう一度!」
この本はいわゆる哲学の本ではなく、変人ツァラトゥストラの(精神における)旅の物語です。
ニーチェの思想をニヒリズムと言う言葉でまとめることがしばしばあります。
ニーチェの言葉は皮肉の中に批判精神と箴言とを内包する心地よさがあるのだと思います。それが読者の言葉にしたくともできないある種の社会的制約、つまり常識と言う名の偏見に光を当てるからです。
「これは俺の朝だ。俺の昼がはじまるぞ。さあ、来い、来い、大いなる正午よ!」
…もともと小心者の僕は、海外に行ったからといって日本では違和感を覚えるほど人と交流しようとは思えませんでした。
そのためにせっかくの勉強の機会を逃したこともあったかもしれません。
もともと他者に対して臆病である自分自身を再確認して、落ち込んだりもしました。
そんなことがわかったからといって勇気が湧いてくるわけでもありません。元来臆病である者は一生臆病な気持ちと付き合っていかなければならないのだと思います。
しかしこの「臆病」を、例えば謙虚であるなどと言い換えてしまうのは人間を小さくする「徳」であるとツァラトゥストラは語ります。
超人にはまだまだ到達できません。けれど人間を(自分を)克服できる可能性はまだあるのではないでしょうか。
英語の勉強不足を実感したことも、臆病を克服するための一つの経験とすることもできるのでは。
「これが、学ぶってことだったのか?よし!じゃ、もう一度!」
「自己愛は自分にたいする軽蔑も、なんとたっぷりもっていることか!(…)ものすごく軽蔑する者を、俺は愛する。人間は、克服されるべき存在なのだから」
ツァラトゥストラはこう言った。
- 作者: フリードリヒニーチェ,Friedrich Nietzsche,丘沢静也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/01/12
- メディア: 文庫
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