昨日読了[246冊目]ケストナー/丘沢静也訳『飛ぶ教室』☆☆☆☆

一番気に入ったことば「どうして大人は自分の若いときのことをすっかり忘れてしまうのだろうか」



子どものような大人のケストナーから、大人が嫌いな子どもや、子どもの心を忘れそうになっている大人へと贈られた物語。


悪い言い方をすれば深みが無い。良い言い方をするならこれが正義だ。


この物語は腕白な少年たちを中心に話が進みますが、注目すべきは「正義さん」ことヨハン先生と、「禁煙さん」ことローベルトでしょう。


二人の語り口や行為は、大人が子どもにとってどんなに人生の手本と指針になるのかを示すようにも感じられます。


「大切なことに思いをはせる時間をもった人間が、もっとふえればいいと思うだけだ。金や、地位や、名誉なんて、子どもっぽいものじゃないか。おもちゃにすぎない。そんなもの、本物の大人なら相手にしない。」


このように語る禁煙さんの思う本当の大人とはどんな人でしょう。


本当の大人に成りきれないまま毎日を消費するだけの人が多いのは、きっと子ども時代が忙しすぎるせいだと思います。


学校で勉強しなければならないことが多すぎるし、社会人としてやらなければいけないことも強要されるし、大人になるための準備が早い段階で必要とされることがよくないと思います。


子どもの社会だってそれだけで忙しい。いっぱい悲しいことや悩みが(もちろん楽しいことも)怒涛のように毎日襲ってくるんだ。


「ゆとり」なんていう大人の考える時間ではなく、大人が「無駄」と思えるような時間が本当は子どもにとって必要な時間なのでは?



飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)