たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

読了[491冊目]楠田丘・野原茂・『管理職・専門職・専任職を育てる 人材成長アセスメント◎新人材評価システムの展開』☆☆☆

一番気に入ったことば「結論や決定は最終的に本人にさせる」

 

私自身、専門職主任という立場にて、会社の他の専門職を評価する立場にあります。私の会社では専門職も若い方が多いので、専門職として成長してもらうことはもちろん、社会人としても成長してもらうことが必要だと思っています。

 

そのため、このような人事の本から得られる知見も必要と思い読みました。

 

やや古い本ですが(第一版1995年)、人材育成についてのシステムを明示しているし、評価表も提示されているので、この本にあるような客観的な評価が必要とされるならば有用かと思います。

 

色々ビジネス系の著書を閲覧しましたが、著者の主観で書かれている本が多い中、システマティックに評価することを希望するならこの本はためになるでしょう。もちろん、各自の業種によって読み替えや評価表の改変は必要だと思いますが。

 

私自身もこの本の考え方を元に、専門職の評価や各事業所のスタッフ評価を客観的に行えるような評価システムを作っていく予定です。

 

人材成長アセスメント―管理職・専門職・専任職を育てる 新人材評価システムの展開

人材成長アセスメント―管理職・専門職・専任職を育てる 新人材評価システムの展開

 

 

 

 

読了[490冊目]シンシア・ウィッタム、上林靖子他(訳)『ADHDのペアレントトレーニング むずかしい子にやさしい子育て』☆☆☆

一番気に入ったことば「ほめるということには、ことばだけでなくいろいろな要素があります。」

 

 

仕事でペアレントレーニングを行おうと思っています。そのために読みました。

 

この本はABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)を基本としてADHD(傾向)の子を主に、子育て中に起こる子どもの困った行動に対応するための技法が述べられています。

 

ただし私の経験では、ADHDでも中等度より重い知的障害がある子にはこの本に載っている対応をしてもうまくいかないどころか、場合によってはより悪い結果になる可能性があるかもと思いました。

 

あくまでことばの理解が十分にできる知的レベルの子を持つ親御さんが対象で、子どもの言語・認知レベルは少なくとも4歳以上が必要です。

 

全体としてみればABAの知識を基にした適応的行動の獲得やスモールステップでの行動形成が取り上げられていますが、残念ながら著者はABAを部分的に学んでいるか、あるいはその技法を間接的に学んだうえで独自のやり方を提案しているように思いました。

 

ということで、ABAの専門家からするとこの本の基盤であるUCLAの精神神経医学研究所で開発された親訓練プログラム自体が未完成なものであり、それを輸入してペアレントレーニングをしている国立精神・神経センターにも疑問を抱いてしまいます。

 

この本の初版は2002年であり、約20年前という歳月が経ちABAはもちろん養育の知識(とともに私の知識)がアップデートされたが故にずれを感じるのかもしれません。

 

この本を読んで実践した親御さんが、うまくいったのならよいのですが…そうでないならABAを専門とする臨床心理士等に助言を求めるとよいと思います。因みに我が国においては臨床心理士公認心理師でもABAの知識は個人差があります。

 

今度この著書の翻訳者に会う機会があるので質問、議論したいと思っています。

 

 

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育

 

 

 

 

 

 

読了[489冊目]宮井研治(編)『子ども・家族支援に役立つ面接の技とコツ』☆☆☆

一番気に入ったことば「具体的な名前や内容を告げるとかの配慮が提唱されています。(中略)これらは特別な配慮というよりはより丁寧なコミュニケーションの提案です。」

 

この本のは主に児童相談所やその周辺施設、多くは行政の児童支援に関わる心理士による保護者への対応について各人の経験と配慮が記述されています。

 

それ以外の施設や業種に携わる心理士は自分の仕事の状況に当てはめて読み替える必要があると思いますが、ある場面における保護者に対しての対応方法をシミュレーションしたり、異なる領域の1つのケースとして捉えるには良いかもしれません。

 

つまり、家族・子どもの支援に役立つかどうかは、読者の職場環境や読解力などにより異なると思います。

 

 

子ども・家族支援に役立つ面接の技とコツ 〈仕掛ける・さぐる・引き出す・支える・紡ぐ〉児童福祉臨床

子ども・家族支援に役立つ面接の技とコツ 〈仕掛ける・さぐる・引き出す・支える・紡ぐ〉児童福祉臨床

 

 

読了[488冊目]秦充洋『プロ直伝! 成功する事業計画書のつくり方』☆☆☆

一番気に入ったことば「リスクを示すシナリオも必要」

 

この本は一部漫画も挿入されていてストーリー展開があり読みやすいです。

 

私は参考書は何冊か読むことで、共通点を見つけ基礎事項の確認や重要な点を記憶することに役立てています。

他の事業計画書作成本と合わせて読むことで、やはりプレゼンの相手を意識した事業計画書の作成や、成功のストーリーを提案すること、アイディアの発想から具体的な事業に進めるまでの流れ、市場調査やマーケティング手法について、コストと利益獲得を考えることなど、共通項について確認しています。

 

この本の購入動機はイラストが気に入ったから、だったのですが、漫画の内容も説明の流れの他、キャラや展開の面白さも考えられていてよくできていたように思います。

 

プロ直伝!  成功する事業計画書のつくり方 (マンガでわかる!  ビジネスの教科書シリーズ)

プロ直伝! 成功する事業計画書のつくり方 (マンガでわかる! ビジネスの教科書シリーズ)

 

 

 

 

 

 

矢場田勲『プロカウンセラー開業&集客BIBLE』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「一流のスキルを持ったカウンセラーであることと、独立開業してカウンセリングルームを経営することは全くの別物です」

 

この本は心理カウンセリングを行おうとする人にとっては、本当にバイブルと言えるほど必要なことをまとめて理解できるつくりになっています。

 

ビジネスとしてカウンセリングを行ううえで必要なマーケティング、広報のための基本的知識を得られることはもちろん、カウンセラー(セラピスト)として重要な心構えとして、「クライエントの要望に応える」「自分の得意な分野を売りにする(それ以外は専門家なら)」「クライエントの特性に合わせて対応を柔軟に変える」「受付や初回の印象、対応が今後の面接に影響する」「ドロップアウトなどのクライエント側の不満について」「ブレないカウンセリンをするための心構えや生活に必要なこと」など、開業心理士(カウンセラー)以外でも臨床心理士公認心理師として重要なことが学べる本だと思いました。

 

また、大学院で学んだ臨床心理士としての枠組みと、応用としてその枠組みを出る、崩すことで得られるもの、クライエントに貢献できることについても考察できました。

 

ニーズがあるから儲かる。

 

現在常識とされている心理カウンセリングの常識を問うと共に、やはり心理カウンセリング、臨床心理学の知識をもっと社会に提供し貢献していくべきだしこれまでの「待ち」の姿勢から「攻め」の姿勢への転換があってこそ、社会一般の発達障害精神疾患へのネガティブな印象を変えていくことができる(かもしれない)と思うのです。

 

 

 

プロカウンセラー 開業&集客バイブル

プロカウンセラー 開業&集客バイブル

 

 

井口嘉則『マンガでやさしくわかる事業計画書』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「広告・宣伝方法を考える」

 

この本は(この分野では初心者の)私が新規事業計画を作成するうえで最も役に立ったと思う本です。

 

漫画部分はおまけですが、物語と同じような商品開発の事業計画を作成する人にとっては自分を重ねて読み進められるかもしれません。

私の場合は商品開発ではなく、会社として複合的な事業展開をするうえでの1事業の提案だったので、ある程度自分の置かれている文脈に読み替えながら読み進めました。

 

私のように物語に当てはまらない人にとっても、新規事業計画を作成する人々にとってこの本は非常にわかりやすく、何をすればよいのか導いてくれる流れになっていると思いました。

 

 

 

 

 

 

 

石川明『はじめての社内起業』☆☆☆

一番気に入ったことば「ある程度「非合理を承知」でいなければ、新規事業は始まらない」

 

この本は私自身が社内で新規事業を興す上で必要と思い読みました。

 

本書は著者がリクルート社での経験を元に、新規事業を始めるために必要な心構えと考え方が記載されています。ただし、具体的に自分の会社、事業に落とし込む為にはある程度読み替えが必要だと思いました。

 

新規事業を計画する者がどのような知識と戦略をもって上司や経営者に訴えるかが学べると思います。

 

 

はじめての社内起業 「考え方・動き方・通し方」実践ノウハウ

はじめての社内起業 「考え方・動き方・通し方」実践ノウハウ