一番気に入ったことば「外へのはたらきかけのない、受身的なシミュレーションでは十分ではない」
この本は様々な動物の個性的な知覚の世界を探ることで、人間の生物としての特異性を明らかにするとともに、今私たちが認識している通常の世界、例えば当たり前に目の前にあるペンが見えることや夕日が赤く見えるということがどんなに不思議に満ちているかを再確認させてくれます。
ウマやネコなんかは身近な存在としてその知覚世界を想像したりすることもあるかもしれません。しかしこの本ではホタテガイやタコ、ハエやクモに至る多種多様な生物の知覚世界を教えてくれます。
外界は、物理的には普遍であるが、生物種によって時間、空間の捉え方は違っていて、それはその生物が生きていくうえで(更に言えば種の保存を行っていくうえで)有効な手段に則っていると考えられます。
僕は生物学者じゃないので、個々の生物の専門的な知識は読み飛ばしましたが、あらためて生物としての人間へと目を向けることができました。
- 作者: 鈴木光太郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1995/12/01
- メディア: 単行本
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