一番気に入ったことば「「現象学」とは、まさしく「経験の学」にほかならないのであり、人間の事実的経験に即してその論理、意味、構造を読みとろうということである。」
この本はムズい!現象学の「げ」から知りたいと思った僕にとっては。
入門書ではなく、フッサールとメルロ=ポンティを軸にした研究論文であります。
ある程度現象学の基本的知識が無いと、この本は情報量が多すぎます。
要するに「現象学」とは一義的に定義できるほど包括的な知識で語ることは不可能であり、拡充性と志向性をもっていると言える、ということかな。
現実に目を向けた心理学的議論には好感が持てますが、どうなんだろう…。まだ僕の中でしっくりこないところもあります。
前期から哲学系ゼミで「心の哲学」を学んでいますが、常に経験と想像、形而下と形而上の戦いが繰り広げられています。
僕の見解では、物質(現実)と精神(心)には完全に疎通不可能なベール(それはとても薄く透けて見えるようだが、確実に存在する)が領域を隔てていると思います。
もちろん言語論的見解はまた別な観点からのアプローチであり、ある意味では現象学と共通項を持ちますが、分類の種類は異なるようです。
最近の知覚心理学分野の研究においても、我々が知覚している世界は純粋な物理世界とは異なるとしています。
哲学は真実に近づくための営みであるべきであり、想像の自由を用いて単なる思考ゲームになるのは避けるべきだと思います。
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1970/09/21
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