一番気に入ったことば「ミーム」
かなりお厚い本で、読んだり休んだり、1年前に紐解き読了するまで手間取ってしまいました。
平易な文で書かれていて専門用語も少なく、自然科学、とりわけ生物に興味のある人には刺激的な本ではないでしょうか。
心理学でいうと、進化心理学とか、比較心理学の勉強になると思います。
最近「確証バイアス」という言葉が頭から離れなくて、論理的であることに対しても懐疑的です。この本で扱われている進化理論やゲーム理論、ミームにしても論理的で確かに科学の手法としては正しいのだろうけど、その正しさは作られたものであるような、そして力を持った人間の作為的意図が含まれているような感じがするのです。もともと僕自身が懐疑主義的なところがあると思います。世のなか信じられることって結構少ない。でも信じたふりをして信じたつもりにならないと生きていけませんよね。
それにしても遺伝子学と動物行動学とゲーム理論から様々な人間考察に及ぶその過程は、さすが名著の誉れ高い本であると思います。
攻撃派と保守派、浮気をする人しない人、嘘つきと正直者、個人主義と共同体主義。すべては進化的に(遺伝子保存のために)安定する割合で両立するらしい。
著者は遺伝子の持つ性質を道徳に当てはめて論じることに警告をしているが、僕はどうしても或る種の道徳概念には本能的なものがあると思ってしまいます。いや、そもそも道徳自体が非自然的な概念であることは確かなのですが。
人間も生物としてはは遺伝子の乗り物でしかないとも言えるが、しかし我々人間の思考は宇宙のすべてを飲み込むことができる。
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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