一番気に入ったことば「人は自分よりすべての点で劣る者に恋をし続けることはできない」
正確には「自分が価値を持つと思っている全ての点で劣っていると思う他者」のことじゃないかな。
作者があとがきでも書いているように、恋愛において相手に依存することなく、自分と相手がお互い一人で立っていられること、つまり相手を一人の人間として尊重することが、じょうずな恋愛において大切な要素の一つだと思います。
ちょっとネタばれになりますが、この本では、主人公勝利とかれんの互いを想う気持ちとすれ違い、勝利の初恋の人と父親との恋愛、勝利を想い続ける星野りつ子、そして主人公たちの恋の邪魔をする(と勝利が勝手に思ってる?)中沢先生など、恋愛における楽しい話が盛りだくさんでした。
盛りだくさんだけど、わかりやすいのがこの作品のよい所でもあります。
僕はもう恋する気持ちだけでは恋愛ができない。
好きな気持ちだけで恋愛は成り立たない。
それは今までの経験の影響もありますし、将来のことを考えた上での打算などもあります。
高校の頃はもっと単純に「抱きしめたくなるくらい可愛い」と思う女の子でよかったのに。
時の流れとは残酷ですな。
…というのも単なる思い込みかもしれません。
でも個人の性格や人生の選択なんて、結構主観的な思い込みで成り立っているものだったりもする。
ところで、この本は中古で買ったのですが、仰向けで読んでいたら本の間から四葉のクローバーで作った押し花が落ちてきました。
前の持ち主が次の持ち主へちょっとした幸せのおすそ分けしようとする気持ちを受け取りました。
同時に中古書店の店員さんは押し花の存在に気付いたはずなのに、それを入れたままにしておくその気持ちにも粋を感じました。
おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)
- 作者: 村山由佳,志田正重
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/11/20
- メディア: 文庫
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