たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

523冊目奥田健次(編)『教師と学校が変わる学校コンサルテーション』☆☆☆

一番気に入ったことば「コンサルテーションの魅力は(中略)大多数のクライアントに間接的な支援をもたらすことにある」

 

 

薄い本ですが、学校に関わるコンサルタントとコンサルティの為の本です。

 

私自身学校と連携を図りながら子どもの支援を行っていますが、この本でも言及されているように私のような外部の専門家の受け入れを快く受諾してくれる学校もあれば、それを拒否する学校もあります。

この本では「学校コンサルテーションを阻むもの」として、(1)新規事業に対する警戒心、(2)実践を否定されることに対する強い不安、(3)(言い訳のようなものだが)個人情報保護や忙しさ。を挙げています。

 

私からもう一つ二つ「学校コンサルテーションを阻むもの」挙げるとするなら、「教員としてのプライド」があるのではないかと思います。学校教員は少なくとも大学(以上)で教育学を学び教員採用試験に合格した人たちです。当然「児童に勉強を教える、学校教育を行う」という意味での専門性を持つ者達で構成されています。それ故に、学校内での教育・指導は自分が責任をもたなければならないと考える人が多いのではないでしょうか。

さらに上記を踏まえ、「ジンバルドーの監獄実験」(詳しくは検索してください)から、「教員はこうあるべき」という強者の立場を誇示しようとするのではないかと考えています。つまり教員は常に自分よりも知的に下位の他者(児童)に教育・指導する立場にあり、自分たちが多くの児童を統制・操作している感覚に陥るため、その優越性を阻害されることに抵抗感を感じる傾向にあるのではないかと推論するのです。

 

あくまで私の経験からの推論です。これまで数校の先生と直接的・間接的に関わっていますが閉鎖的な所が多いです。連携できている所は稀です。ご不快に思われる方もいると思いますが、あくまで個人的な経験からの全体像の推論でありますことをご了承ください。

 

この本では学校に主に心理士がコンサルテーションを行い成功した事例が多数載っています。学校の先生方が柔軟に外部の専門家と連携し保護者や子どもたちの為により良い環境づくり、関わりができるようになることを願っています。