一番気に言ったことば「こころの知能指数」
この本は感情・情動の心理学の本です。
日常生活や社会生活において、自分の感情について知ること、相手の感情を知ること、共感的理解を示すことが
ますます重要になっており、家庭や教育の場でも、感情・情動を重視した養育・教育の重要性が高まっている。
という内容になります。
個人的に興味深いと思った9章より、抜粋とちと感想なども。
〜第9章 結婚生活の愛憎〜 より
・女児は男児より早く言語的能力が発達するために自分の気持ちをはっきり表明できる。
男児は感情を口に出すことがあまり奨励されないので、自分や他者の感情に無関心になっていく。
・男子は孤高かつ非情な自主自律を誇りとし、女子は親密に結ばれた集団の一員であることを重視する。
したがって、男子は自分の独立を侵す可能性のあるものに脅威を感じ、女子は自分たちの仲を決裂させるものに脅威を感じる。
・男は「ものごと」について話をするだけで満足するが、女は情緒的つながりを求める。
・女性は言語的・非言語的に関わらず感情のサインを読みとる能力や自分の感情を表現する能力に優れている。
男性は弱さ、罪悪感、恐怖、苦痛に関係する感情を最小限に抑える能力に優れている。
・一般的に女性の方が男性よりも高い共感能力を持っていることが分かっている。
・表情による感情表現も、男性よりも女性の方がはっきりしている。
…これらは夫婦(男女)の感情の扱い方の違いについて言及されたものだが、臨床心理士に必要とされる共感
の能力は女性の方が高く、女性向きな職業であるとも捉えられる。もちろん個人差はある。
また、この後続く話では、結婚生活においてお互い苦情を言い合うことが当然あるだろうが、それが個人攻撃になり、
それを避けるため男性は殻に閉じこもり、女性はそれを更に不満に思うという悪循環があることや、それらが続くことにより
ネガティブな自動思考が形成されることにも言及している。 …そして結婚生活は破滅へと向かう。
その後には著者から破滅へと向かわないためのアドバイスがある。
・男性と女性は感情を微調整する方向が違うため、男性は衝突を回避せず、妻が苦情や意見の相違を口にしたら、
それは夫婦の関係を健全で望ましい方向に保ちたいという愛情ゆえの行為であると受け止めること。
・男性は、最初から実際的な解決策を提示し議論を省略する様な態度を見せないこと。妻は自分の不平不満をちゃんと
聞いてくれること、そして自分の気持ちに共感してくれること(同意する必要はない)が何より重要。
・妻は夫を非難しないように気をつけるべき。行為に苦情を言うのはよいが、人格を非難したり軽蔑したりすべきではない。
・相手の感情にうまく耳を傾ける方法「鏡映法」を用いる。自分の言葉で相手の発言内容を鏡のように再現する。
その際、感情を捉えるようにし、際限の仕方が適切かどうか相手に確認しながら話を進める。
(心理療法で利用される傾聴技法の一つ)
・苦情を述べる際の上手な形式はXYZ「あなたがXしたので、私はYな気持ちになった。Zしてくれればよかったのに」
・相手に尊敬と愛情の念をもつ。
・自分の方が間違っているとわかったら責任を認め謝る。
…なんか結婚生活たいへんやなーと思いつつ、やはりお互いの思い遣りが大事と結論付ける。
- 作者: ダニエル・ゴールマン,土屋京子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/09/18
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 150回
- この商品を含むブログ (67件) を見る