一番気にいったことば「ただ専門家であるというだけでは、議論の正しさは保証されない」
議論をするとはどういうことかという基本を論じた書。
日本人は議論が下手だと言われますが、それは論理的思考や自己主張をする教育がなされていないからであり
また、高校までに議論の体験が乏しい学生に対して、大学に入ってからそのような教育を行なおうとしても遅いと思います。
議論力はこの本に書かれているような基本よりも、自分の発言が場を作っているという体験が必要だと思います。
僕は中等度の学力レベルの国立大学に在学していたのですが
演習で議論できたと思った学生は僅かです。僕は先生と議論していた記憶が多いです。
殆どの学生は、思考力や意見があっても発言しない。
大学の友人に話を聞くと、大衆迎合主義や権威迎合主義、協調性の確保、単に面倒、恥の文化(恥をかきたくない)など
を自分のことばで伝えてもらうこともあり、議論に加わらない理由についてはしっかりと答えてくれる人が多かったです。
議論は知的なゲームであり、わくわくするものだと僕は思います。
専門的な知識が無くても(あったほうが楽しいですが)、根拠に基づいた自分の知識や考えをぶつけて、相手がヒートアップしたり、新たな意見が出たり、そして自分自身に新たな発見や落ち度を見つけたりするのが楽しい。
学ぶ場でも、仕事場でも、よい議論ができればそのグループに有益なものとなることは間違いないと思います。
- 作者: 吉岡友治
- 出版社/メーカー: 講談社
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