一番気に入ったことば「プレシジョングリップ(精密把握)」
久しぶりに鈴木先生の講義を聞いているような感覚になりました。
人間の心の特殊性を進化と、他の動物との比較から説明する、いわゆる「進化心理学」や「比較心理学」への興味は鈴木先生によって開花させられたと言っても過言ではありません。
大脳新皮質の進化が人間の特徴だと思っていたけれど、大脳のニューロンが約140億なのに比べ、小脳は1000億というのは意外で、大変興味深かったです。
人間が無意識にやっている精密な身体行動こそ、実はものすごく知的な行動なのかもしれません。
ところで、最初出会ったころの鈴木先生の印象はいかにも大学の先生らしく、一般の人とは感覚がずれているように思ってました(失礼)。
でも話を聞くたびに、そして鈴木先生を知れば知るほどに、心理学やその周辺知識の造詣の深さ、ユーモア、柔軟さといった魅力に敬意を抱くようになりました。
先生の著書は何冊か目を通したんですが、最初の頃はカッコ書きが多くて読みにくいなぁ(失礼)と思っていました。
その後演習で学生に鋭いつっこみをするところを多々拝見するようになり、「あ、自分で自分に突っ込んでるのがカッコ書きだ」と気付くと俄然読むのが面白くなりました。
そんな鈴木先生の人となりを知っているがゆえの楽しみ方ができた本です。
本の内容としては、主に進化心理学、比較心理学や発達心理学のさまざまな知見をまとめた進化心理学入門のような位置づけです。
末尾にある文献案内には、おそらく先生自身面白いと思ったであろう興味深い本が沢山載っているので、
更に読み進めてみることをお勧めします。
ヒトの心はどう進化したのか: 狩猟採集生活が生んだもの (ちくま新書)
- 作者: 鈴木光太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/06/05
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (9件) を見る