一番気に入ったことば「苦しくても恥かしくても堂々と生きていこう。」
第一章から第九章までは小学生の作文のような作りです。
もちろん大学生レベル、社会人レベルの知識は盛り込まれていますが、
出来事と考えてることが羅列してあるだけの稚拙な文章です。
しかも読んでいて出来事と考えていることの区別がつきにくい。
むしろ、統合失調症は現実と思考の区別ができにくくなる病気なのだから、
いい意味で言えば、文章として成り立つレベルでその世界を感じられることになります。
この本の醍醐味は、統合失調症の方が記憶と思いを文章に起こした、ということでしょう。
そこだけを知るなら、文庫版の書きおろしである最終章と、岩波明の解説を読めば十分です。
書いた時の状態の違いでしょうけれど、最終章の文章は比較的現実と思考の分離がきちんとできている印象です。
ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)
- 作者: 小林和彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/10/28
- メディア: 文庫
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