たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

昨日読了[353冊目]福井至・貝谷久宜(監修)『図解 やさしくわかる認知行動療法』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「適応的認知」



ネガティブ・シンキングではなく、ポジティブ・シンキングでもなく、適応的認知が大切。


客観的な思考をすることで、自分にとって辛くないし対人関係でも適切な対処ができるようになる、かもしれない。


この本は軽度のうつ病パニック障害、あるいは「自分ってネガティブ思考のせいで損してるなぁ」という人が、それを改善したいという意志をもって実行するための技法が載っています。


認知行動療法は、問題の原因を問題を抱えている本人に帰属します。
(○○は環境に原因を帰属し、○○は母親に原因を帰属します。また、○○は(意識化可能な)無意識に、○○はセラピストの連想の中に原因を帰属します。)


そのため、問題の改善は本人の努力によって克服されると考えます。


僕は、近くに心理治療を受ける場所が無い人や、受けることが金銭的に困難な人、心理治療に抵抗を持つ人、あるいは何らかの理由で心理治療を受けたくない人に、このような本を用いて、自らの努力によって(軽度の)心の病を改善してくれたらなぁという理想を抱いています。


このような本の他に、CCBT(computer-guided cognitive bihavioural therapy:コンピューターを用いた認知行動療法)なんかにも有効性を期待しています。


もちろん、社会生活に支障がでているような重度のパニック障害強迫性障害うつ病の場合は、精神科医臨床心理士に相談することをお勧めします。



図解 やさしくわかる認知行動療法

図解 やさしくわかる認知行動療法