一番気に入ったことば「サイコマンティウム(故人との内心対話)療法」
この本は8(9)名の著者が、いのち教育、あるいはDeath Educationや死の準備教育などと呼ばれる死生観についての教育の現状と教育論を述べたものです。
副題に日本と世界とあるけれど、日本以外の国については、アメリカ、台湾、韓国、イギリス、トルコしか特記されていません。
いのち教育が必要なのは、「文明国と呼ばれる国であり、GNPも高く高学歴社会」(p.5)とあるように、発展途上国や過去の日本においては生活の中で教えられるものであり、学校教育の中で教えるようなものではないように思えます。
「日本と世界」という副題をつけるくらいなら、もっと発展途上国や、イギリス以外のヨーロッパ諸国、あるいは、近代日本のいのち教育とはどのようなものであったかにまで目を向けてもよかったのでは。
…と思うのは贅沢でしょうか(^_^;)
ところで、上記のサイコマンティウムですが、これはアメリカで研究が進んでいる遺族のため心理療法です。
この心理療法は、遺族や残された友人が、亡くなった故人と交流するために、精神科医から指導と解説を事前に受け、その後暗室で鏡を見続けるというものです。
参加者の半分は、この方法で何らかの意味において亡き故人と再会できたと報告したそうです。
この心理療法の効果に関して、科学的な研究が進んでいるようですが、どうなんでしょう?
この療法の開発・指導をしているムーディ博士とヘイスティング博士は、参加者の故人との再開体験と、再開を体験しなかった参加者にも治療的効果があったことを強調しているようです。
日本では故人との再会を体験させてくれる者として、イタコが有名ですが、自分の田舎にも「カミサマ」と呼ばれる方がいて、死者(確か死後49日の間)を自らに憑依させ、遺族と語るというお仕事を生業にしている方がいました。
実際、僕もばぁちゃんが亡くなった時に、家族全員で行ったのですが、100%信じてなかったし、悲しみにある人を騙してお金儲けてる(しかもかなり大きな家で裕福そうでした)なんて軽蔑に値すると思っていました。
しかし今思えば、これも一つのグリーフケアなのだなと、その必要性を感じています。
利用するかどうかはその人の自由だし、きっと昔から必要とされてきた心理療法の一つなのでしょう。
嘘も方便ですね。
- 作者: 得丸定子
- 出版社/メーカー: 現代図書
- 発売日: 2008/04/01
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