たいやきさんは本を読む

臨床心理士・公認心理師の読書ブログ

本日読了[307冊目]板倉昭二『「私」はいつ生まれるか』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「自己認知の段階的発達」



トマセロベジタリアンで酒を飲まず仕事一筋なのに対して、ロシャは食事とお酒が好きで人生の議論が好きという記述がありましたが、僕も食事やお酒そして人生の議論が好きなので、ロシャにとても親近感を覚えました。


こういう記述が読めるのは新書ならではですね。


閑話休題


今卒論テーマとして思案中の「自己認知」についての外観がとてもわかり易く理解できました。


既に読んだ論文もいくつか載っていましたが、比較心理学やロボット工学からの知見にはまだ手を伸ばしてないので、これから目を通していきたいと思います。


3,4歳で獲得されるという、他者の心を推理する能力である「心の理論」に先んずる認知能力は、他者の視線を追従すること、他者の見る方向に注目する共同注視、他者の意図を理解しているような行動、どのようなものに注目するかという視覚的認知、誤信念における人以外の研究、他者の真似をして表象を表すふり遊び、模倣など、様々な知見に見られます。


なんて大変な分野を選んでしまったんだろうとやや後悔しつつ、その深い面白さに魅了されています。


論文の締め切りまであと約半年しかありませんが、できる限り良い研究ができるように頑張っていきたいと思います。



「私」はいつ生まれるか (ちくま新書)

「私」はいつ生まれるか (ちくま新書)