一番気に入ったことば「外在化」
この本は悩みを持つ児童を対象に、認知行動療法の理論を基盤にして、自助的に改善していくためのワークブックです。
絵本のような作りで、話もわかり易く、途中途中に自分で絵や文章を書けるスペースが設けられています。
APA(アメリカ心理学会)の企画で、書いているのも臨床心理学博士ということもあり、認知行動療法の根幹を知るためには、子ども向けとは言えかなり完成度が高いつくりになっていると感じました。
自分でも何度も経験してますが、「不安」や「悩み」が具体的な原因の特定が困難な場合、それらを解決することも困難になってきます。
そこで一つの方法論として、「不安」などに無理やり名前や原因をつけたり、具体的な形に書き起こしたりすることで、対処しやすい形にしていくことができます。
しかし実際悩みをもつ本人は、それをどうしたらよいかすら悩んでいたりもします。その時に例えこの本をとっても、文章が頭に入ってこなかったり、効果を疑ったりしてしまうこともあるでしょう。
そこで、当事者よりも保護者や周囲の人々が援助する方法として(出来れば一緒に)読むことをお勧めします。
また、カウンセリングなどの心理療法に対して敷居の高さを感じる日本では、このような形で手軽に一般の人が対処できる方法を呈示するのは、個人的にすごく大切なことだと考えています。もちろんこのような形で対処できないときは是非専門家の援助を仰ぐべきですが、まだまだカウンセリングに対する誤解もあるし情報開示も不十分だと思われます。
「僕は日本の臨床心理学の世界をよりよく変えていきたい」と、子どものようなことを言ってみる。
だいじょうぶ 自分でできる心配の追いはらい方ワークブック (イラスト版 子どもの認知行動療法 1) (イラスト版子どもの認知行動療法)
- 作者: ドーンヒューブナー,ボニーマシューズ,上田勢子
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2009/09/29
- メディア: 単行本
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