本日読了[289冊目]加門七海『「怖い」が、好き!』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「「わからない」とわかること。」



著者は人が恐怖を感じるときを4つ上げています。

・「ある」ものがなくなる怖さ。
・「ある」ものが知らないものに変わってしまう怖さ。
・「ない」ものがある怖さ。
・わからない怖さ。

そしてお化け(幽霊や妖怪やその他の怪異をすべて含むもの)の存在意義について語ります。


その語り口は冷静で、この手の話をする人にしばしばみられる自分の世界観を押し付ける様子は見られません。


お化けはなぜ怖いのか。


それは曖昧な「境目」であったり、死を予感させたり、常識では理解できない存在であったりします。


その恐怖への対抗策として、人間は昔から、恐怖世界を分離し日常を守るためのルールを設けたり、「名付け」をして安心したり、自然科学の尺度では測定できないものとしてお化けを排除したりしてきました。


しかしどんなに科学が進歩し、時代が進んだとしても、お化けは無くならないし、人間が全てを知ることは不可能だと思います。


仮にそれができるというなら、それは人間から恐怖が無くなったときでしょう。


科学という世界を測定するための物差しはかなり優秀です。けれど科学を信奉し過ぎて非科学的なものを全て排除するようになったら、それはそれで妄信と言える考え方になってしまうような気がします。


もしかしたら科学を信奉する人は、単に怖がりなだけで、世の中にあるわからないことを遠ざけたり、なんとかわかるようにして安心したいだけなのかもしれません。


科学を基礎としつつも、哲学的推論や文学的人間観を失わないような境界人が僕の理想です。



「怖い」が、好き! (よりみちパン!セ)

「怖い」が、好き! (よりみちパン!セ)