本日読了[288冊目]沼田曜一『日本の妖怪ばなし(沼田曜一の親子劇場)』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「人間というのものは、思いがけないことをするもんじゃ」



この本は妖怪のでてくる全9編の昔話が載っています。


「さとり」「山姥」「雪女」「河童」など、妖怪の有名どころが出てきます。


上記の気にいった言葉は、「さとり」が出てくる「山おやじ」から。


「さとり」は人間の心が読めて、山で出会った男の頭の中で思った言葉を口にします。


「さとり」は男に害を与えませんが、男はとても気味悪がり、早く逃げたいと思います。しかしそれすらも読まれてしまいます。


すると突然、焚火の中から焼けた山栗がはねて、「さとり」にあたり上記の言葉を発します。



解釈は色々あってよいと思いますが、僕の場合、相手の思っていることを知ることができる「さとり」にも、解らないことがある。それは自分の思っていることが正しいかそうでないかを判断することだ。そしてその正誤の拠り所は結局のところ自分の主観でしかない。というようなことを考え、とても面白いなと思いました。


ちなみに余談ですが、「さとり」が出てくる話では、漫画『うしおととら』の中のエピソードが大好きです。(内容は省略しますが、オススメです(*^^)v)


読んだのは小学生の頃ですが、優しい気持ちを持っていて、それを行為として行っても、時に間違っていたりする。なんとも切ない感情になったのを覚えています。


…話をこの本に戻しましょう。


この本は親が子どもに読み聞かせるために作られたもののようで、指示的に所々文字が大きくなっていて、大きな声をだして物語の抑揚をつける箇所があります。


僕の生徒さんで小学5年生の子がいるのですが、この子は国語の読解で、情景の読みとりが殆どできません。


国語の本を読んでも、相手が自分と同じように感情を持っていて、悲しいとか、嬉しいとか、単純な気持ちの変化が起こっているのはわかるようですが、場面の想像ができない。そもそも理解できる言葉の意味に限界があるようです。


はっきりと現実に存在する、経験済みのものは理解できるけれど、概念のような頭の中で構成される言葉は理解できない。


そこで、物語性がある短編で、挿絵が沢山載っていて、展開の解り易く、興味を惹くための記号となるキャラクターがでてくるもの、という条件で本を探していました。


まさにこの本はうってつけだと思いました。


この本が気に入ってくれたら、同じような構成の昔話なんかを探して読ませてみたいと思っています。



日本の妖怪ばなし (沼田曜一の親子劇場)

日本の妖怪ばなし (沼田曜一の親子劇場)