一番気に入ったことば「いつかそんな荒々しい物語が 閉ざされた世界で生きる欠点だらけの人たちが 嘘の無いまっすぐな魂が 胸が張り裂けそうなほど愛おしくなってゆくの。」
前半は遠子先輩の緩さにだらけますが、それでも暗号や幽霊などの謎に先を読ませる魅力を感じました。
後半はまさに嵐のように物語の核心が語られます。
『嵐が丘』の魅力も散りばめられ、愛と憎しみ、そして後悔といった感情が作品を読ませる魅力となっています。
途中太字の部分を読んでいて「これ、『嵐が丘』じゃないじゃん」と思っていたけれど、読了後に自分の浅はかさに気付く(;一_一)これは『嵐が丘』の魅力である当事者と語り手と作者という三者の視点を異なる手法で表したものだったのです。
暗号も小一時間悩んだが結局解明されるまで解けなかったし、まったくもっていいように踊らされた感があります。でもそれが楽しい。
所々でみられる遠子先輩の文学紹介がまた素晴らしいです。読みたくなってしまいます。
- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: 文庫
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