本日読了[182冊目]松村栄子『Talkingアスカ』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「見えないほうが気になるに決まってるでしょう」


表題作品の他に短編三作の計四作が所収された文庫本。

「Talkingアスカ」面白いです。


主人公のアスカは親友のマミにtalking(電話)している。読者にはアスカの言葉しか聞き取れない。つまり一方の言葉しか文章として表現されていない。しかし行間を読むことによりマミの姿がはっきりと見えてくる。


口語体で表される一つ一つの言葉にも繊細さを感じる。「うん、そう」「え?ああ、うん、知ってるよ」「ああ、うん。ふーん……わかった。」文脈でしかわからないそれらの言葉から世界が広がる。


アスカはまだ社会性という名のツマラナイ気遣いは無いけれど、直感的な優しさを表現できる女の子。


独白文で主人公の主観から作品の世界を見せる小説はよくあるけど、どうしても作者の、大人の(しかも知識人の)視点が混ざりこんでしまう。


この作品は主人公のあどけなさが秀逸です。



Talkingアスカ (ピュアフル文庫)

Talkingアスカ (ピュアフル文庫)