一番気に入ったことば「自殺の目標は意識を失うこと」
この本は自殺予防の本ではなく、自殺を学術的に分析するために書かれた本です。
原著は『Definition of Suicide』(自殺の定義)で、主に哲学書からの引用で自殺の考察を行っています。
本書の中で紹介されている文献、ペッパーの『世界仮説』、マレーの『個性の研究』、ミラーの『生物システム』に興味を持ったのですが、アマゾンで買えるような一般向けな内容の本ではないようなので残念。
自殺とうつとの強い関連から、自殺があたかも精神病の一つと捉えられがちだが、実際人の感情は一次的な高揚や減退があるわけで、病的な側面以外にも自殺の原因をみることができます。
自殺に関しては一義的な原因と単一の解決法を見つけることはできない。
また、自己保存、つまり生命の維持が生物にとって最大、最高の目的だとすることはできず、例えば心理的苦痛からの逃亡というような直面する難問を解決するための手段としての行為選択としての自殺が起こり得るということを、ミラーの生物システムから導いているのは興味深い。
自殺についての理解を深めることができました。
- 作者: E・S・シュナイドマン,白井徳満,白井幸子
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 1993/11
- メディア: 単行本
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