一番気に入ったことば「生身の人間に自殺の取材は辛すぎる。」
この本は自殺の実例や遺族の実情が書かれています。
読んでいて怒りや悲しみで胸がむしゃくしゃしてくる本でした。
しかし、この本は辛い実情を書きつけることに特化したせいか一面的な見かたになってしまっているところもあるように思いました。
構造改革、郵政民営化を自殺を助長する原因と捉えている部分があるが、僕は過去の政治の流れや出来事を非難するのは無意味だと思います。
過去の出来事を批判するなら未来のよき構想の為の糧としなければならないと考えるからです。そのような視点が乖離している場合、ただの責任転嫁や無意味な非難に過ぎない。
ところで、民間の団体である「自殺実態解析プロジェクトチーム」が刊行した「自殺実態白書」にはとても重要な意義があると思いました。
これは現在までの表層的な統計資料の問題を改善するために、自殺における地域特性や、複合的な自殺要因の調査結果を収めたものです。
このような調査が国や地方の公的機関でも積極的に行われ、対策強化のために役立てていくことが望まれます。
- 作者: 斎藤貴男
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2009/04/11
- メディア: 単行本
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